マーケティング業務は多岐にわたります。さまざまな業務に応じて異なるツールが必要になることもよくありますが、Zoho CRM Plusにはマーケティング業務に必要な機能がそろっています。Zoho CRM Plusを活用すると、見込み客に対して適切なメッセージを届け、ソーシャルメディアにおけるブランド認知度を向上し、マーケティングの投資対効果を改善できます。このガイドでは、マーケティング担当者がZoho CRM Plusを活用して日々のマーケティング活動を行うためのベストプラクティスを学べます。
組織のWebサイトは、オンラインで見込み客を獲得する上で重要な役割を果たします。Webサイトに訪問者がアクセスするたびに、営業担当者が対応して、訪問者とすぐにやりとりし、質問にすばやく回答することが重要です。そうすることで、有望な見込み客の獲得率を大幅に向上できます。
Zoho CRM Plusに含まれるZoho SalesIQを使用すると、Webサイトの訪問者とチャットですぐにやりとりして顧客満足度を向上したり、Webサイトにおける訪問者のアクセス情報や行動を追跡して興味関心を把握したりできます。Zoho SalesIQを使用すると、営業担当者がWebサイトの訪問者に対して、ニーズにあわせた商品やサービスを提案することができ、購入につなげることができます。
Zoho SalesIQの具体的な活用方法を理解するために、次の例を見てみましょう:小売店の「Zylker Fashions」では、Zoho SalesIQのコードをオンラインストアのWebサイトに埋め込んでいます。
ZylkerのWebサイトに訪問者がアクセスしたとします。Zoho SalesIQによって営業担当者に通知され、営業担当者はチャットウィンドウから訪問者とすぐにやりとりできます。または、Zoho SalesIQのチャットボットであるZobot(Zohoのボット)に、訪問者に対応してもらうこともできます。訪問者が「Zylker Fashions」のWebサイトにアクセスするとすぐに、Zobotが訪問者に対してメッセージを送り、やりとりを開始することが可能です。
訪問者が探しているものや関心をもっていることなど、興味やニーズに関する情報を取得すると、Zoho SalesIQによってその情報が直接、Zoho CRMに登録されます。同時に、訪問者の情報が見込み客として追加されます。この見込み客データが割り当てられた営業担当者は、登録経路やチャット内容などの関連情報を確認できるため、フォロー対応を効果的に行えます。
「Zylker Fashions」では、できるだけ多くのWebサイト訪問者に対応すると同時に、確度の高い訪問者を見込み客として識別することで、商談の受注率を向上したいと考えているとします。
Zoho SalesIQの訪問者追跡の機能を使用すると、Webサイトへのアクセス情報やチャットでのやりとりに基づいて適切な見込み客を識別できます。訪問者追跡には、リング表示とリスト表示の2通りの訪問者データの表示方法があります。リング表示とリスト表示を使い分けることで、必要に応じて表示方法を切り替えながら見込み客を優先度付けでき、より確度の高い見込み客を優先して対応できます。
「Zylker Fashions」では、Zoho SalesIQの[オンラインの訪問者]タブで[リング表示]を選択しています。リング表示では、4つの同心円上に訪問者データを整理して表示できます。条件を指定し、どのような訪問者をより内側に表示するかを設定できます。たとえば、より確度の高い訪問者をより内側に表示するように設定することで、優先すべき訪問者を見分けられます。条件の初期設定では、訪問者の滞在時間が設定されています。この条件は、[カスタマイズ]メニューで変更できます。
2.コードの下にある[チャットを追加する]ボックスにチェックを入れます。この設定は、あらかじめ有効になっています。Webサイトの訪問者を追跡するだけで、Webサイトでチャットウィジェットを表示しない場合は、チェックを外します。
3.Webサイトのソースファイルで、既存のコードの</body>タグより前の任意の場所に、コードを貼り付けます。
4.Webサイトへの変更内容を保存して、公開します。
以上の手順を行うと、Zoho SalesIQのチャットがWebサイトに設定され、使用する準備ができます。
Webフォームを使用した訪問者情報のZoho CRMへの直接取り込み
Zoho SalesIQ以外の方法でも、Webサイト訪問者のデータをZoho CRMに取り込むことができます。具体的にはZoho CRMのWebフォーム機能を使用します。
次の例を見てみましょう:
「Zylker Fashions」では、Webサイトの訪問者を分析したいと考えています。また、Webフォームを「お問い合わせ」ページに埋め込んでいます。Webフォームを使用して、名前、メールアドレス、電話番号などの訪問者の基本情報や、ニーズ情報を収集しています。このようにして、訪問者がWebサイトを離れた後でも、見込み客情報を確認してフォローできるようにしています。
訪問者がフォームに情報を入力するたびに、Webフォームによって入力情報が取得されるだけでなく、Zoho CRMアカウントに送信され、[見込み客]タブに見込み客データが追加されます。Webフォームを通じて、見込み客のデータ元、関心のある商品やサービス、質問内容などの情報を取得して保存することで、営業担当者が各見込み客をフォローアップする際に関連情報を把握しやすくなります。また、マーケティング担当者は、対象を絞ったメールを適切な見込み客に適切なタイミングで送信できます。
Zoho CRM PlusとGoogle 広告の連携による広告の費用対効果の測定
Webサイトに訪問者が直接アクセスする以外に、Google 広告を使用して見込み客を獲得することもできます。なお、これには広告費が必要です。
「Zylker Fashions」の例では、Google 広告を使用してWebサイトに見込み客を誘導しています。Google 広告への投資のうちどの程度が実際に売り上げにつながっているのかを知りたいとします。そのため、Google 広告アカウントをZoho CRM Plusに連携することにしました。
たとえば、訪問者がGoogleで「個性的な服」というキーワードを入力すると、「Zylker Fashions」が検索結果に表示されたとします。訪問者は「Zylker Fashions」をクリックしてWebサイトにアクセスし、Webフォームに自分の情報を入力します。入力された情報は「Zylker Fashions」のZoho CRMに送信され、この訪問者は新しい見込み客として登録されます。「Zylker Fashions」のWebサイトからZoho CRMへの訪問者情報の送信処理には、Webフォームに設定された連携コードが使用されています。
この連携を使用して、「Zylker Fashions」では、Zoho CRM内でGoogle 広告のデータを参照できるようになりました。見込み客のデータ元、広告グループ、広告費の費用対効果やROIなど、見込み客の関連情報をまとめて確認できます。さらに、Google 広告がきっかけとなった売上のレポートを表示して管理できるようになりました。
また、オフラインのコンバージョンのデータとも連動させることで、Google 広告について以下のような内容を分析することが可能になりました。
- 広告のクリックがどの程度オフラインでの売上(例:電話、営業担当者経由など)につながっているか。
- どの広告へのクリックが最も収益性が高いか。
これにより、最も有効なWebページにWebフォームを設置して、Google 広告の予算を効果的に割り当てることができます。
Zoho Socialを使用した、さまざまなソーシャルメディアにおけるブランド認知度の把握
あらゆるビジネスにおいて、ソーシャルメディアでの認知度向上は重要です。顧客と交流し、ブランドの認知度を高めることで、売上の拡大につなげることができます。また、ソーシャルメディア上での口コミを増やすことで、さらに認知度を向上させることが可能になります。このように、ソーシャルメディアは継続的な売上の向上や事業の発展において、重要な役割を果たします。
Zoho CRM Plusに含まれるZoho Socialを活用すると、Facebook、Twitter、Instagram、LinkedIn、Google マイビジネスなどの複数のソーシャルメディアのアカウントをまとめて管理できます。これにより、マーケティング担当者はソーシャルメディアへの投稿を同時並行で予約でき、手間を省くことができます。また、ソーシャルメディア上の主要なキーワードをモニタリングし、ブランドの評価指標を測定し、他の担当者と同じ画面を見ながら今後のマーケティング活動について検討できます。
たとえば、Zylker株式会社では、「Zylker Fashions」と「Zylker Accessories」という2つのブランドを展開しているとします。この2つのブランドを、Zoho Socialのポータルでまとめて管理できます。
- ブランド:組織で管理するブランドを設定します。ブランドごとに異なるソーシャルメディアのアカウントを設定することが可能です。最初のソーシャルメディアのアカウントをZoho Socialに接続するとすぐに、ブランドがポータル内に自動的に作成されます。
- ポータル:Zoho Social内のすべてのブランドを管理する場所です。Zoho Socialでは、複数のブランドのソーシャルメディアのアカウントを接続して管理できます。
Zylker株式会社の例を用いて、ソーシャルメディア上での評判を把握するためのZoho Socialの活用方法を見てみましょう。
ソーシャルメディアのモニタリング
「Zylker Fashions」は次第に人気が高まってきました。多くの人がソーシャルメディアで「Zylker Fashions」についてメンションしています。このようにブランドへの注目度が高まっている場合に、ソーシャルメディアのモニタリング機能を使用すると、どのような人にどのくらい注目されているかを把握できます。
ソーシャルメディアのモニタリング機能を使用すると、自社の商品やサービスが話題にのぼる可能性のある会話を見つけ出して確認することができます。これにより、機会をとらえてタイミングよくコミュニケーションをとることができます。Zylker株式会社では、[モニタリング]タブの下に複数の表示列を作成し、ブランドに関連するページのフォロー、@メンション、ハッシュタグなどを追跡できるようにしました。
ソーシャルメディアでブランド「Zylker Fashions」が話題になったときに、担当者がすぐに把握して反応を返すことができます。各ソーシャルメディアにログインしなくても、Zoho Socialの[モニタリング]タブから直接いいね!、コメント、リツイートすることが可能です。興味や関心を持ってくれた人とのやりとりをスピーディに行うことができます。
ソーシャルメディアのモニタリングの詳細については
こちらをご参照ください。
ソーシャルメディアへの投稿時間の最適化(SmartQ機能)
ソーシャルメディアを通じてつながったファンやフォロワーの行動を把握することは重要です。行動を分析した結果を踏まえてソーシャルメディアにコンテンツを投稿する時間を調整することで、反応度を高めることができます。
Zoho CRM PlusのSmartQ機能を使用すると、さまざまなソーシャルメディアにおける過去の投稿への反応状況に基づいて、コンテンツの投稿に最適な時間を把握できます。投稿に最適な時間を一覧で確認できるだけでなく、その時間に予約投稿した場合に投稿が配信される可能性が高いファンやフォロワーの情報も確認できます。
最新情報の確認
ソーシャルメディアにおいてブランドや組織がどのように認知されているかをリアルタイムに把握することで、投稿内容を最適化し、ブランドや組織への興味関心を効果的に高めることができます。具体的には、ブランドがメンションされた投稿、高く評価された投稿、共有された投稿、コメントされた投稿を確認することが有効です。
Zoho Socialでは、ファンやフォロワーがソーシャルメディア上で行っている投稿や反応に関する最新情報を、ホーム画面からまとめて確認できます。ブランドで利用しているソーシャルメディアのアカウントを設定すると、すぐに最新情報を確認できるようになります。たとえば、Zylker株式会社の場合、「Zylker Fashions」と「Zylker Accessories」の2つのブランドに関する情報が[最新情報]欄で異なる列に分かれて表示されます。
それぞれの列において、各ブランドに対してソーシャルメディア上でどのような反応があるかを確認できます。いいね!、メンション、フォロー、返信、投稿などの最新情報を確認可能です。また、ソーシャルメディア上の反応を分析することで、顧客ニーズをより詳細に把握し、今後の対応に活かすことができます。
ファンやフォロワーの把握とコミュニケーション
ブランドの投稿に対して反応があった人の情報は、[コネクション]と呼ばれるタブで確認できます。最新情報に表示された内容をクリックすると、投稿に反応した人が今までに合計で何回反応しているかを確認できます。また、そのままコメントにいいね!や返信することも可能です。
たとえば、佐藤さんというファッション好きの人が、Twitterで「Zylker Fashions」アカウントをフォローし始めたとします。これにより、佐藤さんが「コネクション」として追加されます。また、フォローされたことが[最新情報]欄に表示されます。該当の内容をクリックすると、佐藤さんが過去に自社の投稿に反応しているかどうかをすぐに確認できます。また、佐藤さんのフォロワーや佐藤さんがフォロー中の人も確認できます。また、Zoho SocialをZoho CRMと連携していると、佐藤さんがZoho CRMに見込み客や連絡先としてすでに登録されているかどうかも確認できます。Zoho CRMに未登録の場合は、[最新情報]欄から直接、Zoho CRMに見込み客として追加することができます。
また、該当の人をフォローすることもできます。その後、その人とのコミュニケーションについて社内の他の担当者と相談し、より効果的な対応につなげることができます。このような相談や検討を、[共同作業]と呼ばれるタブでメッセージをやりとりしながら行うことが可能です。
ソーシャルメディアの種類に応じて、以下のような反応を確認できます。
Facebook:訪問者の投稿、メンション、コメント、メッセージ、いいね!
Twitter:メンション、メッセージ、リツイート、返信
Instagram:コメント
Zoho Campaignsを使用した効果的なメールマーケティング
営業活動の成果をあげるためには、営業担当者が見込み客のニーズを明確に把握することが欠かせません。メールマーケティングにおいては、CRMの顧客情報を活用して、対象者のニーズや属性に応じたメッセージを配信することが重要です。
そこで、Zoho Campaignsが役立ちます。Zoho Campaignsは、メールマーケティングの実施や分析に役立つサービスです。
また、Zoho CampaignsはZoho CRMと連携することが可能です。顧客情報を連動させることで、それぞれの顧客にあわせて適切なメッセージを届けることができます。また、メールマーケティング活動の成果を測定しやすくなります。あらかじめデザインされていてすぐに使えるメールテンプレート、ドラッグ&ドロップ操作で使いやすい自動化設定、リアルタイム分析機能など、Zoho Campaignsにはメールマーケティングに必要な機能がそろっています。
マーケティング活動を改善して売上を伸ばすために欠かせない、Zoho Campaignsの特徴的な機能をいくつか見てみましょう。
A/Bテスト
A/Bテスト(スプリットテスト)では、どのような件名や本文を用いると効果的かをテストできます。件名や本文の内容を変えて異なるバージョンを作成し、一部の受信者にテスト配信できます。配信結果や受信者の反応に基づいてより効果が高いバージョンを選択した上で、残りの受信者に配信できます。
たとえば、「Zylker Fashions」では、特別セールに関するメールキャンペーンを計画しているとします。計画がうまくいったかどうかは、メール配信の結果を見ればすぐに分かるように思えます。しかし、実際にはこれほど単純ではありません。
メールのどの部分に注目が集まり、どのリンクがクリックされたのかを特定するためには、仕組みが必要です。仕組みがなければ、メール配信がどの程度効果的だったのか把握するのが難しくなります。こうした情報は、実際に配信してみるまで分かりません。もしかしたら、計画とは異なる内容で配信した方がうまくいった可能性もあるでしょう。これらの課題を解決をするために、「Zylker Fashions」では、A/Bテストキャンペーンを実施することにしました。異なる2つのバージョンを用意して、一部の受信者に先行して配信することで、どのような内容が効果的を見極めることができます。
A/Bテストで変更できる項目は次の3つです:件名、メールの本文、配信元の詳細。3つの項目の内容を適切に設定すると、メールマーケティングの成果を大幅に向上できます。「Zylker Fashions」では、A/Bテストの結果に基づいて、勝者のバージョンを選択し、残りの受信者に配信しました。反応度がより高いバージョンを特定して効果を高めると同時に、その後のメール配信の最適化にもつなげることができました。
メモ:テスト結果をふまえてどちらのバージョンを勝者とするか(より効果が高いと判断するか)は、開封率やクリック率に基づいて決定できます。また、結果を総合的に見て個別に判断したい場合、手動で決定するように設定することも可能です。
メールマーケティングの自動化
初回メール、ナーチャリング、フォローアップなど、メールマーケティングにはさまざまなステップがあり、適切な計画と実行が重要です。Zoho Campaignsには、メールマーケティングの計画と実行を支援し、業務を自動化する機能(ワークフロー)が用意されています。設定はかんたんです。
必要な処理の内容や順番を、ドラッグ&ドロップの操作で設定することができます。自社のニーズや業務に合わせて手軽にカスタマイズすることが可能です。
また、さまざまな用途に応じたテンプレートが用意されています。テンプレートを選ぶだけで、すぐに設定を完了できます。
ワークフロー(自動化)の設定
ワークフローの設定では、どのような処理が発生したときや、どのような条件が満たされたときに処理を開始するか(トリガー)を設定できます。トリガーには、さまざまな種類が用意されています。配信リストへの登録、メールの開封やクリック、特定の項目の更新などを起点として、処理を自動で実行することが可能です。その他、フォームの送信、ECサイト/オンラインショップにおける購入やカート放棄などもトリガーとして選択できます。APIを用いて外部アプリケーションの処理をトリガーとして設定し、連携させることも可能です。
ワークフローのトリガーの種類(自動処理の起点)
ワークフローのトリガーには、さまざまな種類があります。
フォーム送信:配信リストへの登録フォームが送信されたとき
メールの操作:メールが開封やクリックされたとき
項目の更新:受信者(配信リストへの登録者)の項目が更新されたとき
トリガーの設定後、実行する一連の処理を設定することができます。処理の内容としては、追加メールの配信、項目の更新、CRMのデータ登録やタスクの作成などから選択できます。たとえば、初回メールを開封した受信者により詳細な案内メールを配信したり、商品サイトへの誘導リンクをクリックした受信者に対するフォローアップのタスクを作成したりできます。
また、ワークフローによる一連のフォローが完了した後、最後に行う処理を設定できます。設定できる処理の例:
CRMへのデータ登録:CRMの見込み客または連絡先タブにデータを送信します。
リストに追加/リストから削除:特定のリストに対象者を追加します。または、既存のリストから対象者を削除します。
項目の更新:特定の項目のデータを更新します。たとえば、ステータスの項目を「一次フォロー完了」などに更新できます。
ワークフロー機能を活用することで、CRMの顧客データとの連動もスムーズに行うことができます。メールマーケティングの活動を営業フォローにつなげやすくなります。一連のマーケティングメールを通じて見込み客の興味や関心が高まった後に営業担当者がアプローチすることで、商談化の可能性や受注の確度を高めることができます。また、継続的にフォローアップすることで、契約の更新につなげやすくなります。
ワークフローのテンプレート
あらかじめ設定されたテンプレートを選択することで、メール配信を自動化するためのワークフローを簡単に設定できます。マーケティング担当者の作業負荷を軽減できます。テンプレートは、さまざまな用途に応じてカテゴリー別に用意されています(例:登録のお礼/初回フォロー、見込み客の育成/ナーチャリング、掘り起こし、顧客維持、eコマース/EC)。テンプレートを活用することで、すぐに設定を完了することができます。時間と労力を節約し、その分、顧客像の分析や配信内容の最適化に注力できます。また、目的に沿ってテンプレートを使い分けることで、より効果を高めることができます。
eコマース(EC)用のテンプレート
Zoho Campaignsには、eコマース(EC)用のワークフローのテンプレートが用意されています。ECサイト/ネットショップ/オンラインストアの利用者のフォローに役立つ内容を、すぐに設定できます。
ShopifyやZoho Commerceのオンラインストアと連携し、購入促進や購入後フォローの流れに沿って処理を設定して自動化することが可能です。
以下では、「Zylker Fashions」のオンラインストアを例に、活用方法をみていきます:
カート放棄のフォロー(基本):「Zylker Fashions」のオンラインストアにおいて購入手続きの途中で離脱した人に対して、リマインダーのメールを配信し、購入の完了を促します。
カート放棄のフォロー(高度):購入手続きの途中で離脱した人に対してリマインダーのメールを配信した上で、そのメールに対する反応に応じてさらにフォローメールを送信します。購入の完了を、よりきめ細やかに促します。
購入後のフォローアップ:商品を購入した顧客に対して、購入から一定期間後にフォローアップメールを配信します。
「Zylker Fashions」のオンラインストアにおける、さらなる活用例:
「Zylker Fashions」では、特別セールに関して一連のメールを配信するマーケティングキャンペーンを計画します。セールの売上を最大化するために、顧客が購入した商品に応じた内容のメールを、それぞれの顧客に配信したいと考えています。
a)「Zylker Fashions」のオンラインストアでは、多くの訪問者がカートに商品を追加した後、決済する前に離脱していることが判明しました。
カートへの商品追加までは行われているということは、もう少しで購入につながったことを意味しています。ここで、eコマース(EC)用のテンプレートが役立ちます。テンプレートを使用してワークフローを設定することで、カート放棄を売上につなげるためのフォロー処理を自動化できます。
「Zylker Fashions」では、カート放棄のフォローのワークフローを設定しました。決済を完了していない顧客に対して、無料配送や割引コードなどの特典を伝えることで、購入につなげることができました。
b)「Zylker Fashions」のマーケティング担当者は、特定の商品の売上をさらに伸ばしたいと考えました。
そこで、対象の商品に類似した商品を購入した顧客に対するワークフローを設定しました。対象の商品を購入する可能性が高い顧客を絞り込んで案内メールを配信しました。
また、最初のメールを開封していない顧客に対してリマインダーのメールを配信することで、よりメールの効果を高めることができました。これにより、対象の商品の売上を伸ばすことができました。
c)「Zylker Fashions」のマーケティング担当者は、既存顧客からの再購入を促進したいと考えました。
掘り起こし用のテンプレートもありますが、今回はより自社の要件に合った形でのフォローを行うため、ワークフローをいちから設定することにしました。
大まかな手順:
1.ワークフローを開始するためのトリガーを設定する
2.ワークフローにおいて自動で実行する一連の処理を設定する
3.ワークフロー終了時に実行する処理を設定する
上記の手順に沿って、必要なメール配信やフォローアップの流れをきめ細やかに設定することで、うまく再購入につなげることができました。ワークフローによる自動化の詳細については
こちらをご参照ください。
Zoho Surveyを使用した顧客アンケートの作成
顧客アンケートを実施する主な目的は、顧客が何を望んでいるかを学ぶことです。顧客から得た回答を活かして、新しい顧客の獲得や維持に役立てることができます。顧客アンケートを実施して回答を収集することで、顧客や市場について、さまざまな側面から理解を深めることができます。具体的には、ターゲットとする市場、商品に対するフィードバック、顧客からの感想や評価、顧客の購買傾向、ブランドの認知度などについてより詳細に把握できます。Zoho CRM Plusに含まれるZoho Surveyを使用すると、顧客アンケートを自由に作成して公開し、顧客からの回答をすぐに集計できます。
[Survey]タブで利用できる機能と、アンケートの作成方法は次のとおりです:
アンケートの作成画面
アンケートの作成画面では、ドラッグ&ドロップ操作でアンケートの質問を簡単に作成できます。テンプレートも豊富に用意されており、選択するだけですぐにアンケートを作成することが可能です。顧客満足度、マーケティング、イベント、人事、教育など、カテゴリーごとにさまざまなアンケートのテンプレートから選択し、必要に応じてカスタマイズできます。
質問の種類は、25以上用意されています。多肢選択、星による評価、評価尺度、スライダー、順位付け、NPS(顧客推奨度)などから、使用する種類を選択できます。これらの質問項目を使用してアンケートを独自に作成するか、あらかじめ設定されたテンプレートを選択してカスタマイズすることもできます。各テンプレートには、カテゴリーや調査内容に応じた質問が含まれています。必要な質問を取捨選択できます。また、さまざまな色やテーマを選択することで、アンケートをより見やすく分かりやすく表示できます。組織のブランドに応じて外観やロゴを変更して、独自のテーマとして保存することも可能です。
アンケートの作成画面では、アンケートの作成に加えて、次のような高度な機能も利用できます:
配点:質問ごとの得点を設定できます。回答内容を定量化したり、テストを実施したりすることが可能です。
翻訳:アンケートを複数の言語に翻訳できます。
レビュアーの招待:アンケートのレビューやコメント追加を行うユーザーを招待できます。
アンケートの移行:アンケートとレポートの所有権を他のユーザーに移行できます。
アンケートの共有:アンケートを他のユーザーに共有できます。複数のユーザーで協力してアンケートを作成できます。
レポートの共有:アンケート回答や集計結果などのレポートを他のユーザーに共有できます。ユーザー単位で個別に共有するだけでなく、組織内で共有したり、インターネット上に公開したりできます。
カスタム変数(URLパラメーター):アンケートURLにパラメーターを追加して回答者に関する情報を取得し、アンケートの質問文や回答に反映できます。回答者についてあらかじめ分かっている情報がある場合、事前入力して表示することが可能です。
回答の購入:対象とする顧客層を指定して回答データを購入できます。
Zoho Analyticsを使用したマーケティング費用の効果測定
マーケティングの費用と成果を分析することで、組織のマーケティング活動の効率化や、マーケティング費用の最適化につなげることができます。
Zoho CRM Plusは、営業、マーケティング、サポートの3つの部門をまたがって利用できます。これにより、顧客に関するデータを統合的に分析することが可能になります。[Analytics]タブでは、3つの部門で利用しているデータをすべて統合し、独自のテーブル、レポート、グラフ、ダッシュボードを作成して、データを表示できます。
このように、Zoho CRM Plusに含まれるZoho Analyticsを使用すると、マーケティング関連のデータを、顧客データを軸にして部署横断的にまとめて視覚的に分析できます。主要な指標を継続的に追跡することで、施策の成果をリアルタイムに把握できます。また、今後のマーケティング計画を立てる際に分析結果を活かすことで、計画の精度を高めることができます。また、Google アナリティクス、Google 広告、Mailchimpなどの他のアプリケーションのデータも組み合わせて、Webサイトのトラフィック、メールの開封率やコンバージョン率などの傾向をすばやく把握することもできます。
以下では、Zoho Analyticsを使用してさまざまなマーケティング活動に関するダッシュボードを作成し、マーケティングの投資対効果(ROI)を分析する方法を見てみましょう。これらのダッシュボードは、あらかじめ用意されているテンプレートから作成することも、最初から作成することもできます。
Zoho Campaigns
Zoho Analyticsを使用してZoho Campaignsのキャンペーンデータを分析すると、今月の成果が高いキャンペーン、キャンペーンの成果が高い地域などを一覧表示するダッシュボードを作成できます。
Zoho Analyticsを使用してZoho Socialで連携しているソーシャルメディアのデータを分析すると、ファン/フォロワー/オーディエンス、投稿についての反応/エンゲージメント、パフォーマンス、リーチ、インプレッションなどに関する指標から、ソーシャルメディアにおける活動状況や反響を分析できます。