メール到達率とは
顧客への連絡手段として、メールはもっとも重要なツールの1つです。 そのため、送信したメールが顧客に確実に届くことが大切です。
メール到達率とは、送信したメールのうち、顧客の受信サーバーに到達したメールの割合を示します。ただし、受信サーバーまで到達したメールが必ずしも顧客の受信トレイに振り分けられるわけではありません。メール到達率には、受信サーバーへの到達後に迷惑メールフォルダーに振り分けられたメールも含まれます。一方、受信トレイへの配信率とは、送信したメールが、受信者の受信トレイに配信された割合です。たとえば、営業担当者がメールを送信し、メール到達率が90%の場合、送信したすべてのメールの90%が受信者の受信サーバーに配信され、10%は何らかの理由で不達となったことを示します。また、受信サーバーに到達した90%の中の3分の1のメール(全体の30%)が迷惑メールフォルダーに振り分けられた場合、受信トレイへの配信率は60%となります。
メール到達率が重要な理由
メール到達率は、販促活動において重要な指標です。営業担当者は、顧客が必要な情報や興味のある情報をメールに記載します。ですが、メールが顧客の受信トレイに表示されなければ、顧客に読んでもらうことはできません。メール到達率が低いと、送信元のIPアドレスやドメインがブラックリストに登録されてしまうことがあり、そうなった場合、ますますメール到達率が低くなってしまいます。また、Zoho CRMを利用するユーザー全体にも影響が及ぶ可能性があります。そのため、営業担当者は、メールが確実に配信されるような対策をとることが必要です。
到達率に影響する原因
送信元のIPアドレスの信頼性
メール到達率に最も影響する原因の1つは、送信元のIPアドレスの信頼性です。メールを受信するサービスは、送信元のIPアドレスにスコアをつけ信頼性を評価しています。スコアの基準になるのは、一度に送信するメールの件数、送信したメールに対して報告された苦情、送信したメールが迷惑メールフォルダーに振り分けられた件数、宛先不明で戻ってきたメールの件数などです。
これらの基準に基づいて、送信元のメールアドレスにスコアが割り当てられます。このスコアがメール到達率に直接影響します。低いスコアが改善されない場合、営業担当者が送信するメールが顧客の受信トレイに届かない可能性が高くなってしまいます。
メールの送信元の認証
顧客に送信するメールの送信元メールアドレスとして自社のメールアドレスを使用する場合、該当のメールアドレスのドメインを認証することは大切です。認証を行うことで、送信元のメールアドレスが偽装されておらず、正規の送信元であることを証明できます。 これにより、受信者側のメールサーバーで迷惑メールとして振り分けられる可能性を下げることができます。一般的によく利用される認証方法には、SPF、DKIM、DMARCがあります。
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SPF(Sender Policy Framework):
SPFは、メールの送信元がなりすましによって偽装されておらず、正規の送信元であることを、IPアドレスの情報を用いて認証するための仕組みです。SPFの設定が行われていない送信元からのメールは、多くの受信者によって拒否されます。また、送信したメールが迷惑メールとして識別される可能性が高くなります。
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DKIM(DomainKeys Identified Mail)
:DKIMは、暗号化の技術を用いてメールに電子署名をし、メールの送信元を認証する仕組みです。DKIMの設定を行うことで、メールの内容が配信中に改ざんされていないことを証明することもできます。
メールの到達率を向上させるためには、SPFとDKIMの両方を設定することが推奨されています。
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DMARC(Domain-based Message Authentication Reporting and Conforming):
DMARCは、SPFとDKIMを組み合わせてより詳細な設定を行うことができる認証方法です。認証方法の設定の他、認証に失敗した時の処理方法や、レポートの送信などに関する設定を行うことが可能です。
多くの営業担当者は、見込み客や顧客との連絡にメールを使用しています。そのため、送信したメールが確実に顧客の受信トレイに配信されるよう、認証設定など、送信元の信頼性を高める対策が必要です。Zoho CRMでは、こうした認証に関する設定を簡単に実行することができます。メールの送信元に関する認証の設定を行わないまま、不達率が悪化すると、送信元の信頼性が低下します。送信元の信頼性が低下すると、該当の送信元のIPアドレスがブラックリストに登録される可能性があります。そうなった場合、Zoho CRMを利用するユーザー全体に影響が及びますので、認証に関する設定は必ず行ってください。メール到達率が向上すると、営業活動の生産性も向上させることができますので、その意味でも設定は重要です。
メールの内容
メールの内容は言うまでもなく大切です。また、メールの形式や文字コードの設定が適切でない場合、受信者のメールサービスによって迷惑メールと振り分けられる可能性が高まります。HTML形式の文章を作成する場合は、タグが適切に使用されていて形式に不備がないかご確認ください。
メールの形式や文字コードの設定だけでなく、メールの内容に記載するURLにもご注意ください。存在しないページのURLだったり、短縮URLを使用している場合、迷惑メールフォルダーに振り分けられる可能性が高まります。悪質なサイトへ誘導する内容や、緊急性を訴求する語句や煽り文句を使用しないでください。また、記号も多用しないでください。メールの内容を吟味して、顧客が必要とする情報だけを記載することで、メール到達率を向上させることができます。
信頼性が低い送信元メールアドレスの置き換え
Zoho CRMを利用してメールを送信しているすべての方が、認証の設定をすべて実施できるとは限りません。Zoho CRMでは、認証の設定を実施できない場合にも、到達率を一定に保つための対策がとられています。
そのうちの1つが、信頼性が低い送信元メールアドレスを、より信頼性の高いメールアドレスに置き換えることです。無料で取得できるドメインを用いたメールアドレスや無料で利用できるメールサービスのメールアドレス(フリーメールアドレス)を使用している場合、顧客宛てに送信したメールの到達率が低下する可能性があります。特にGmailやYahoo!など、無料でたくさんの人に利用されているサービスのメールアドレスから送信されたメールは、受信者側で迷惑メールと認識されやすいため、到達率が低下する可能性が高くなります。Zoho CRMでは、送信元にこのようなメールアドレスが指定された場合、Zoho CRMのシステムによるメールアドレスに自動で置き換えられます。Zoho CRMのシステムによるメールアドレスに使用されているドメインに対しては、適切な認証が行われているため、この処理により到達率を高めることが可能です。
Zoho CRMアカウントで利用している組織において独自の送信元メールアドレス(例:
info@zylker.com
)が設定されていて認証されている場合は、そのメールアドレスを使用してメールが送信されます。そうではない場合は、送信元メールアドレスが置き換えられます。認証されていないメールアドレスの使用を続けると信頼性が低下し、同じメールサーバーを使用している他の送信元からのメールの到達率にも影響します。そうした事態を防ぐため、このような対策がとられています。
メモ:
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Zoho CRMにおいて独自のメールアドレスのドメインを認証する方法については、
こちらの記事
をご参照ください。
- 上記のようなメールアドレスの置き換えは、IMAPやPOPによって連携しているメールボックスから送信されたメールや、リレーサーバーを通じて通じて送信されたメールに対しては行われません。
送信元のIPアドレスの信頼性への対策
送信元のIPアドレスの信頼性も、メールの到達率を向上させるのに大切です。Zoho CRMにはメールの信頼性を確認し、必要な対応を行うための機能が用意されています。そのうちの1つが、信頼性に関するレポートです。レポートを通じてメールの送信状況や信頼性に関する指標データを確認して必要な対応を行うことが可能です。
信頼性に関するレポートについての詳細は、
こちらの記事をご参照ください。
信頼性のレポートで確認できる内容は以下のとおりです。
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信頼性スコアと信頼性向上の対策案:メールの信頼性スコアを確認できます。また、スコアを改善するための対策を確認できます。信頼性スコアは、一定期間において報告されたメールの不達件数や迷惑メールとして処理された件数をもとに計算されます。信頼性向上の対策案がある場合、画面に表示されます。対策案の内容を実行することで、信頼性スコアを高めることができます。
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不達の割合:送信したメールの件数と不達となったメールの件数を確認できます。期間やユーザーを指定してレポートに表示することもできます。不達となった原因を把握し、改善のための対策を実行することができます。
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信頼性スコアの推移:一定期間における信頼性スコアの変化を確認できます。送信したメールの合計件数と不達件数をグラフで比較し、傾向を把握できます。スコアを改善するための対策を検討する際に参考にできます。
Zoho CRMでは、メール到達率を向上させる対策ができる限り簡単にできるようになっています。また、メール到達率を向上させるだけでなく、配信のための時間や労力を節約するのに役立つ機能もあります。これらを活用することで、メール送信の効果と効率を高めることができます。
メール到達率を向上させるために有効な方法
配信リストの適切な管理
配信リストを管理し、定期的に整理することは、とても重要です。メール到達率を向上させるためにもっとも重要な要素が、配信リストの質の高さと言っても過言ではありません。配信リスト内に無効なメールアドレスや迷惑メールアドレスが含まれている場合、メールが不達となったり、受信拒否となる可能性が高くなるため、メール到達率が下がります。営業担当者は、日常業務に追われ、配信リストの整理を怠りがちですが、受信者の関心や属性に応じて配信リストを整理することがメール到達率を上げ、結果として効率の良い営業活動を可能とします。
ダブルオプトイン(2段階の同意確認)方式の採用
見込み客とメールでやりとりをしようとしたときに、相手の見込み客がメールの受信を希望していないかもしれません。受信を希望していない見込み客にメールを送信すると、迷惑メールに分類される可能性があります。すると、受信者側のメールサービスにより送信元の信頼性が下げられてしまいます。それを避けるため、配信リストの作成には、ダブルオプトイン(2段階の同意確認)方式を採用することをお勧めします。これにより、本当にメールを受信したい見込み客だけが配信リストに登録されるようになるため、迷惑メールとして報告されるのを避けることができます。
メール配信の登録解除方法の明確な案内
受信者が受け取るメールには、受信者自身が登録解除できる方法を記載する必要があります。また登録解除までの動線を分かりやすくしなくてはなりません。受信者自身が登録解除を簡単にできないと、迷惑メールとして報告され、メール到達率が下がってしまう可能性が高くなります。そのリスクを減らすため、登録解除用のリンクや依頼先メールアドレスの記載など、登録解除の方法を分かりやすく伝える必要があります。
顧客のグループ化
登録者の関心や属性に応じて配信リストをグループ化(セグメント化)して、グループごとの特徴にあわせてメールを作成することで、メール到達率の向上につなげることができます。
迷惑メールと判断されにくい件名の使用
件名は非常に重要です。件名次第で開封率が決まると言ってもよいでしょう。ただし、迷惑メールと判断されやすい言葉の使用を避けてください。たとえば、「無料」「緊急」「特典」というような表現を使用したり、記号などを多用すると迷惑メールと判断される可能性が高くなります。このような条件に当てはまり、迷惑メールとして判断されると、メール到達率が下がってしまうため、件名は、メールの内容が簡潔、かつ明瞭に伝わるものにしましょう。