CRM for Everyoneは、Zoho CRMを営業チームだけでなく、組織内の複数のチームと連携しながら利用するための機能です。複数のチームでスムーズに連携して、迅速な顧客対応を行うことで、顧客体験価値を高めることが可能です。
今日、組織が提供する商品やサービスに対する顧客の期待値は、ますます高まっています。十分な情報提供と、個々の顧客のニーズと状況に応じた迅速なサービスの提供が期待され、遅延や対応の不備は一層厳しく評価される傾向があります。このような中、組織では、顧客体験価値を高める、つまり、顧客が商品/サービスの購入や利用を通じて良質な体験を得られるように、チーム間で常日頃から連携して迅速に顧客対応を行う必要があります。連携の必要性は、定常的に発生する場合もあれば、突発的に発生する場合もあります。前者の例としては、受注完了後の営業チームと配送チームとの連携、後者の例としては、商品やサービスの安全性への懸念に対処するための営業チームとコンプライアンスチームとの連携などがあります。チーム間の連携が不十分であることによって支払うことになる代償がますます大きくなる中、チーム間のスムーズな連携を可能にする共通のツールの利用は欠かせないものとなっています。
チーム間で異なるツールを利用する場合のデメリット
顧客対応に関してチーム間で異なるツールを利用すると、生産性や顧客対応においてデメリットが生じます。
たとえば、営業チームでの案件管理にはCRM、配送チームでの依頼管理には表計算シート、チーム間でのやりとりにはチャットやメールを利用している場合、チーム間で関連情報をまとめて確認することは困難です。また、画面上でツールを切り替えるのに時間がかかります。さらに、チーム間の連携に時間や手間がかかり、顧客対応に遅延が発生する可能性もあります。このような問題を回避するために、外部のシステム会社などに依頼して、複数のツール間でデータを連携するという解決策も考えられますが、これには、時間、労力、コストがかかります。
ツールの集約における管理権限の問題
上記のような理由から、顧客対応のスピードと質を向上するには、顧客関連業務を担当するすべてのチームが共通のツールを利用することが理想です。
しかし、その際問題となるのが、システムの管理権限の集中と分散の問題です。各チームの管理者は、チーム内でユーザー、自動化、プロセス管理などの設定を迅速に変更できるようにすることを希望します。一方、組織の管理者は、セキュリティ面での懸念から、通常、管理権限を分散させることは回避しようとします。アクセス権限は必要最低限の範囲に留めるというセキュリティ上の原則に反して、管理者権限を複数のチームやユーザーに付与すると、プライバシーやセキュリティの面でのリスクが高まるためです。権限を不用意に付与することは、権限の濫用や予想外の問題につながる可能性があります。
このような懸念から、一般的には、組織の管理者は、各チームの権限を制限する傾向があります。しかし、その場合、各チームでは、ユーザーや設定の変更を組織の管理者に依頼する手間が生じます。また、組織の管理者においては、各チームからの似たような依頼に何度も対応しなければなりません。これでは、結局のところ、各チームで管理可能なチーム専用のツールを利用するのが望ましいという結論に至ってしまう可能性もあります。
そうならないようにするには、組織の管理者から各チームに管理権限を分散しつつ、各チームの管理権限を制限する仕組みを備えたツールが必要です。チームに対して、データや設定の管理に必要な最低限の管理権限を付与し、必要な場合には、組織の管理者がチームの権限を制限できることが重要です。
解決策としてのCRM for Everyone
上記の課題を解決する手段として、CRM for Everyoneがあります。
チームタブは、チーム専用のタブです。チーム内でチームの業務に関するデータを登録して、管理したり、チーム外から申請データを受け付けたりすることが可能です。
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CRM for Everyoneでは、チームごとにチームスペースを作成できます。チームスペースには、チームスペースのユーザーを追加し、タブとして組織タブまたはチームタブを関連付けることができます。
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チームタブでは、チーム外のユーザーを[申請者]として追加できます。[申請者]は、チームタブに直接アクセスしてデータを表示することはできませんが、[自分の申請]タブから申請データを登録し、申請の管理や進捗状況の確認を行うことが可能です。詳細はこちら
チームタブのデータに対しては、自動化機能やプロセス管理機能も利用できます。利用すると、業務の効率化やプロセスの最適化が可能です。
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Zoho CRMの組織の管理者は、チームタブを利用して、管理権限をチームに分散することにより、管理業務の負担を軽減できます。一方で、組織の管理者は、チームタブの管理者の権限をいつでも取り消すことができます。
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チームスペースの管理者は、チームスペースへのアクセス権限を管理することで、権限のないユーザーによるアクセスを制限できます。組織タブへのアクセス権限は、Zoho CRMの組織の管理者による権限設定に基づきます。一方、チームタブへのアクセス権限は、対象のチームタブの管理者による権限定に基づきます。こうして権限を管理することにより、チームスペースや各タブへのアクセスを必要最低限の範囲に制限することが可能です。
CRM for Everyoneの機能の概要
チームスペース内のタブのデータの一覧ページでは、必要に応じて表示方法を切り替えることができます。表示方法としては、かんばん表示、一覧表示、キャンバス表示(一覧、タイル、表形式)、Zoho Sheet表示、グラフ表示を選択できます。グラフ表示は、CRM for Everyoneで新たに追加された表示方法です。グラフ表示を利用すると、[アナリティクス]タブに移動しなくても、タブ内からすばやくグラフを確認できます。
CRM for Everyoneでは、別のチームへの依頼や申請をかんたんに行うことができます。申請は、[自分の申請]タブから送信できます(自分が[申請者]として追加されているチームタブに対してのみ、申請を送信できます)。チームタブの設定変更が必要な場合、設定変更の作業はチームタブの管理者のみで完結できます。また、チームタブでは、割り当てルール、承認プロセス、ワークフロールールなどの自動化機能も利用できます。
CRM for Everyoneを利用すると、顧客対応に必要なすべての作業をZoho CRM内で完結させることができます。Zoho CRMで顧客情報を確認してから、プロジェクト管理ツールを開いてタスクの進捗を確認し、チャットツールで別のチームへの依頼を行う必要はありません。また、社内の申請ツールを利用して情報システム部に設定変更を依頼し、何週間も待たされることもありません。このような面倒なツールの切り替えや、複雑で時間のかかる手続きは不要です。
CRM for Everyoneなら、低コストでシンプルに、チーム間のスムーズな連携を実現し、顧客対応のスピードと質を向上できます。これにより、顧客体験価値を高めることが可能です。
プラン別の制限
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無料プラン
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スタンダードプラン
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プロフェッショナルプラン
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エンタープライズプラン
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アルティメットプラン
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新しい操作画面
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チームスペース
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やりとりの履歴タブ
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留意事項:
- 操作画面は、必要に応じて、以前のバージョンに戻すことができます(以前のバージョンに戻すには、プロフィールアイコンをクリックし、操作画面のバージョンの切り替えを選択します)。なお、操作画面のバージョンの切り替えは、対象のユーザーの画面にのみ反映されます。他のユーザーは、切り替え操作を行わない限り、新しいバージョンの利用を継続できます。
- 操作画面を以前のバージョンに戻すと、チームスペースにはアクセスできなくなります。ただし、その場合も、チームタブの管理者は、[設定]→[カスタマイズ]→[タブと項目]に移動し、チームタブの設定を管理することはできます(チームタブのデータを作成することはできません)。
関連情報: