組織の方針や目標を定めるには、適切なデータが必要です。
通常のレポート機能では、担当者の対応状況、問い合わせのステータス、担当者のパフォーマンスなどの一般的な各種指標データを確認できます。しかし、これらのデータでは十分とは言えません。組織の状況を多角的に確認できるような、より詳細なデータが必要です。
このような場合に、独自のレポートが役立ちます。
標準のレポートに加えて、Zoho Deskでは要件に合わせて独自のレポートを作成することが可能です。
顧客サポート業務のパフォーマンスの把握、目標の達成状況の確認、各種活動の評価など、分析したい内容のみをまとめたレポートを作成して、データを詳細に確認することができます。
独自のレポートを活用することで、組織の状況について理解を深め、状況に応じた方針や目標を定めることが可能です。このページでは、独自のレポートの利用例や作成方法について説明します。
利用例
オンラインストア:返品状況の追跡、配達に関する問題の確認、顧客の苦情に関する傾向分析
独自のレポートを使用することで、返品頻度、配達の遅延状況、顧客のフィードバックなどの重要な指標データを確認できます。たとえば、特定の商品の返品回数が多い場合、表形式レポートを作成して該当の商品の関連項目を追加し、返品の原因について調べることが可能です。レポートには、リアルタイムで最新のデータが反映されます。原因を特定して問題に対処することで、顧客満足度の向上につなげることができます。
宿泊施設:予約の詳細の確認、宿泊客の各種希望の管理、フィードバックの調査
宿泊施設では、顧客によって希望や要件が異なります。
独自のレポートを作成することで、担当者や管理者は繁忙期の予約の傾向を特定したり、顧客の優先度を設定したり、フィードバックを管理したりできます。たとえば、表形式レポートを作成することで、宿泊客のチェックイン/チェックアウトの日時、部屋の希望、食事の有無などの詳細を一元管理することが可能です。それぞれの顧客に適した対応を行うのに役立ちます。また、問題が発生する前に対処することもできます。
金融機関:ローン申請のレビュー、承認履歴の確認、リスク要因の特定
金融機関において、顧客のデータの取り扱いには細心の注意が必要です。また、ローンの申請理由は多岐にわたります。顧客やローン申請に関するデータをもとに、リスクの特定、ローン期間、承認手続き、不正利用の検出などの業務を行うのは手間がかかります。
このような場合に、独自のレポートを作成することで、ローンの種類、リスク度、ステータスに応じた申請をグループにまとめることができます。これにより、ローンの申請を効率よく分類し、リスクを分析して最小限に抑えることが可能です。また、申請の承認業務の効率化を図るのにも役立ちます。
独自のレポートを通じてデータを分析するメリット
組織の業務において、独自のレポートはとても役立ちます。独自のレポートを作成する主なメリットは、以下のとおりです。
- プロセスの見える化:業務プロセス全体を見える化できます。たとえば、オンラインストアの場合、注文の受付から発送までのプロセスにおいて、注文内容、発送状況、顧客満足度などの各種指標データをひと目で確認することが可能です。
- 顧客サービスの品質向上:顧客のフィードバックをもとに問題を特定して改善し、顧客満足度の向上につなげることができます。
- 問題への対処:傾向を把握して問題点を調べて特定し、業務の改善を行うことができます。今後同様の問題が発生するのを防ぐことも可能です。
- 要件に合わせたカスタマイズ:組織の要件に合わせて、独自のレポートをカスタマイズできます。対象となる内容を絞ってデータを分析することが可能です。独自のレポートには、常に最新のデータが反映されます。最新の分析情報をすばやく把握できます。
- 数式の活用:独自のレポートでは、割合、合計、平均などの数式を使用できます。重要な指標データを簡単に出力することが可能です。
- アクセス権限の設定:独自のレポートは、部門ごとに作成できます。レポートの共有対象となる担当者を制限することが可能です。
利用条件
必要な権限
初期設定では、Zoho Deskで独自のレポートを作成できるのは管理者権限を持つユーザーのみです。
また、レポートとダッシュボードのタブに関する「表示と作成」以上の権限が必要です。
各プランの機能と制限を確認する独自のレポートの作成例
管理者や担当者は、組織の要件に合わせて独自のレポートを作成できます。
以下では、オンラインストアにおける独自のレポートの作成例について説明します。
- 注文の詳細に関するレポート:商品名、日付、ステータスなどの項目をもとにレポートを作成し、注文の詳細を確認できます。このレポートをもとに、商品の在庫の補充基準を設定したり、販促活動を計画したりすることが可能です。
- 返品と返金に関するレポート:返品対象の商品、返品理由、返金ステータスなどの詳細を確認できます。返品した顧客の特定、返品ポリシーの管理、返品対象/対象外の設定などに役立ちます。
- 配送状況に関するレポート:商品の配送時間に関する指標データをもとに、配送時間の目標に対する達成状況を確認できます。たとえば、プレミアム会員の顧客に対して24時間以内の配送サービスを提供している場合、目標値である24時間以内に配送が行えているかどうかを確認することが可能です。目標の達成を目指すことで、顧客満足度の向上につなげることができます。
- 顧客のフィードバックに関するレポート:特定の商品に関する顧客のフィードバックを確認できます。フィードバックを分析することで、サービス、配送、商品に関する問題を特定することが可能です。問題を特定して対処することで、再発を防ぐことができます。
- 売上に関するレポート:返品頻度の高い商品に関して、商品名、金額、事業者の詳細を確認できます。これらの内容を把握することで、返品の原因を特定し、問題に対処することが可能です。返品の頻度を減らし、売上の低下を防ぐことができます。
レポートの作成
レポートの作成手順の主な流れは、以下のとおりです。
基準タブと関連タブの選択
Zoho Deskには、問い合わせ、連絡先、取引先、通話、予定などの標準タブが用意されています。
レポートを作成するにあたって、これらのタブをレポートの基準タブとして選択できます。
たとえば、未割り当てで未完了の問い合わせの件数を確認するためのレポートを作成する場合、[問い合わせ]タブを基準タブとして選択することが可能です。
複数のタブに関連するデータを分析したい場合、関連タブを選択できます。
たとえば、エスカレーションされた問い合わせの件数と問い合わせを送信した連絡先の人数に関するレポートを作成したい場合、[問い合わせ]タブを基準タブとして選択し、[連絡先]タブを関連タブとして選択することが可能です。
メモ:カスタムタブの作成に関する詳細については、
こちらをご参照ください。
複数のタブの各データをもとにレポートを作成したい場合についても、基準タブと関連タブを選択します。
たとえば、受け付けた注文と顧客に関するレポートを作成したい場合、[問い合わせ]タブを基準タブとして選択し、[連絡先]タブを関連タブとして選択します。
レポートの種類の選択
作成できるレポートの種類とその詳細は、以下の表のとおりです。
| 説明
|
表形式 | 行と列をもとに、データの詳細を簡潔に表示します。
例:注文ID、顧客名、連絡先番号、注文日、配送先などの項目の値を表示します。 |
要約 | データをグループ化し、合計や小計などの集計情報を合わせて表示します。
例:完了、返品などの注文ステータスに基づいてデータをグループ化し、注文額や返金額の合計を表示します。 |
マトリクス | 行と列の両方でデータをグループ化し、集計情報を比較します。
例:完了、返品などの注文ステータスに基づいてデータをグループ化し、商品カテゴリーに基づいてさらにデータをグループ化して表示します。各カテゴリーとステータスにおける注文額や返金額を確認することが可能です。 |
列の選択
独自のレポートを作成するにあたって、タブ内の標準項目とカスタム項目を選択できます。たとえば、[問い合わせ]タブのデータをもとにレポートを作成する場合、問い合わせ番号、件名、問い合わせの作成日時、担当者、ステータスなどの項目を列の一覧から選択することが可能です。選択した列のデータがレポートに表示されます。
メモ
一覧に表示される列は、選択したタブと該当のタブの項目によって異なります。
列のタブは、表形式/要約レポートでのみ表示されます。
条件の設定
フィルターを追加することで、特定のデータに関するレポートを作成できます。列や期間を選択して条件を設定し、抽出したデータをレポートに反映させることが可能です。
たとえば、WhatsAppを通じて受信した問い合わせの件数や、過去30日間におけるチャットの件数に関するレポートを作成できます。
マトリクス/要約レポートでのデータのグループ化
マトリクスレポートでのデータのグループ化
マトリクスレポートでは、問い合わせのタグによるグループ化が可能です。問い合わせのタグを作成し、そのタグごとに問い合わせの件数を集計できます。
データをグループ化するにあたって、複数選択リストの項目の値を使用することが可能です。一覧から、複数選択リストの項目を値として選択できます。レポートには、選択した各項目によってグループ化された値の件数が表示されます。
たとえば、「問題の種類」という複数選択リストがあり、選択リストの項目に「故障」、「異常な発熱」、「返金」という選択肢があるとします。
この複数選択リストから問題の種類を選択する際には、複数の選択肢を選択することができます。
この例の場合、マトリクスレポートには「故障」、「異常な発熱」、「返金」の各項目のデータの件数が表示されます。それぞれの問題の種類に該当する問い合わせの件数を簡単に確認することが可能です。
要約レポートでのデータのグループ化
要約レポートでは、問い合わせの担当者、完了した問い合わせの件数、優先度、解決時間などの複数の共通項目とその値をもとにデータをグループ化できます。
[グループ化]タブに情報を入力することで、値の合計や平均をもとに対象のデータの要約を確認することが可能です。
たとえば、「スキル」という複数選択リストがあり、「Python」、「データ分析」、「機械学習」という選択肢があるとします。この複数選択リストからスキルを選択する際には、複数の選択肢を選択することができます。この例の場合、要約レポートでは各選択肢のグループが作成され、各スキルの従業員の人数が計算されます。
メモ:マトリクスレポートは、縦軸と横軸の両方でデータを集計するのに役立ちます。それに対して、要約レポートは小計を計算するのに役立ちます。
独自のレポートフォルダーの作成
データの分析目的やデータ元のタブによって、各レポートの用途は異なります。Zoho Deskでは、[分析]タブにフォルダーを作成し、フォルダー内でレポートを分類、管理できます。
また、レポートの表示対象として、以下のいずれかを選択することが可能です。
- 自分のみ:レポートは、個人の参照用として設定されます。
- すべての担当者:すべての担当者に対してレポートへのアクセスを許可します。
- 特定の担当者:特定の担当者に対してのみレポートへのアクセスを許可します。
レポートフォルダーを作成するには
- [分析]タブ→[レポート]の順に移動して[レポートを追加する]ボタンの隣のドロップダウンをクリックし、[レポートフォルダーを追加する]を選択します。
- レポートフォルダーの追加画面で、以下の手順を実行します。
- フォルダー名を入力します。
- [表示対象]のドロップダウンで、[自分のみ]、[すべての担当者]、[特定の担当者]のいずれかを選択します。
- [保存する]をクリックします。
メモ:「固定形式のレポート」フォルダー内に独自のレポートを作成することはできません。
レポートの作成
メモ:特定の部門に関して作成されたレポートは独自のレポートとして識別されます。これに対して、すべての部門に関して作成されたレポートは共通レポートとして識別されます。
独自のレポートを作成するには
- [分析]タブ→[レポート]→[レポートを追加する]の順に移動します。
または、画面右上の[+]アイコンをクリックして[レポート]を選択します。

- タブと関連タブを選択し、[続ける]をクリックします。

- [レポートの種類]タブで、要件に合わせて[表形式レポート]、[要約レポート]、[マトリクスレポート]のいずれかを選択します。標準では、表形式レポートが選択されています。

- [列]タブで、対象となる列を追加/削除します。

- [グループ化]タブで、データをグループ化する条件を指定します。
- グループ化する項目:データをグループ化する項目を選択します。
- 並べ替え:[昇順]または[降順]のいずれかを選択します。
メモ:[グループ化]タブは、要約レポートを選択した際にのみ表示されます。

[合計の列]タブで、対象の列に関して表示する集計値を選択します。合計、平均、最小値、最大値を選択できます。

[条件]タブで、フィルターの適用条件を指定します。
- [保存する]をクリックします。
レポートの保存のポップアップ画面で、レポートの名前と説明を入力します。
レポートの保存先のフォルダーを選択します。
- [保存する]をクリックします。
独自のレポートで行える各種操作
必要に応じて、独自のレポートの画面で編集、フィルターの適用、カスタマイズ、削除などの操作を行うことができます。
- フィルターアイコンをクリックすると、列名や日時に基づいてレポートにフィルターを適用できます。

- 編集アイコンをクリックすると、レポートの名前、説明、フォルダーを変更できます。

- 削除アイコンをクリックすると、レポートを削除できます。

- 更新アイコンをクリックすると、レポートのデータを読み込みなおすことができます。
- [名前をつけて保存する]をクリックすると、該当のレポートの名前を新しく設定して、別のフォルダーに保存できます。
- [カスタマイズ]をクリックすると、項目の値や条件を更新できます。[実行する]をクリックすると、新しい値や条件をもとにレポートを取得することが可能です。
レポートのお気に入り登録
レポートを作成することで、膨大なデータを簡潔にまとめて、データをわかりやすく確認することができます。組織でたくさんのレポートが作成されている場合、これらの中から対象のレポートを見つけ出すのには手間がかかります。
たとえば、月末の給与計算のためにサポート担当者の1か月間の工数を確認したいとします。
組織でたくさんのレポートが作成されている場合や同様のレポートが複数ある場合、対象のレポートを見つけ出すのには時間と手間がかかります。
このような場合に、レポートをお気に入りに登録することで、対象のレポートにすばやくアクセスすることが可能です。
メモ:スタンダードプラン以上のプランを利用中の場合、組織でお気に入りに登録できるレポートの件数の上限は、15件です。
レポートをお気に入りに登録するには
- [分析]タブ→[レポート]の順に移動します。
- お気に入りに登録するレポートにカーソルを合わせて、
アイコンをクリックします。
- [お気に入り]をクリックします。
お気に入りに登録したレポートは、[お気に入りに登録したレポート]フォルダーに表示されます。
メモ
- 固定形式のレポートをお気に入りに登録することはできません。
- お気に入りに登録したフォルダーは、親フォルダーの検索欄には表示されません。