シナリオ
Zoho CRM では、多くの組織が階層構造を採用しており、管理者はレポート先ユーザーから上司のデータへのアクセスを制限することを好みます。しかし、特定の状況では、上司のデータが部下から見える場合があります。
このような場合、管理者はなぜ上司のデータがレポート先ユーザーに表示されるのか、どのようなデータ共有のシナリオが原因となり得るのか、そしてどのように今後それを防ぐべきかという疑問を持つことがあります。
本記事の目的は、シナリオと根本的な理由を詳細に説明し、顧客が問題をトラブルシューティングするために取るべき手順について意識を高め、Zohoが追加調査を行うために必要な情報の案内を提供することです。
データ共有の仕組み:
可能性のある理由を探る前に、まずZoho CRM内でユーザー間のデータ共有の仕組みを理解しておくことが重要です。
階層設定に基づく
Zoho CRMでは、階層設定は「設定」>>「一般設定」>>「会社設定」>>「階層設定」から確認できます。
1. 役割階層
Zoho CRMでは、ユーザーデータへのアクセスは役割に基づいています。階層が上位のユーザーは、下位役割のユーザーデータを表示できます。例えば、'Ha Showroom'という会社がCEO >> 営業マネージャー >> 営業担当者という階層構造を持っている場合、CEOまたは管理者は組織全体のデータを表示できます。一方、営業マネージャーは自分のデータと、自分にレポートしているすべての営業担当者のデータにアクセスできます。
Zoho CRMで役割に対して「ピアと共有」オプションが有効になっている場合、その役割のユーザー同士はお互いのデータを表示できます。例えば、HarishさんとHarryさんが両方とも営業マネージャー役割にいて、「ピアと共有」設定が有効な場合、HarishさんはHarryさんのデータにアクセスでき、逆も同様です。
Zoho CRMでユーザーが特定の役割の予測マネージャーに指定されると、その役割内のすべての他のユーザーのデータにアクセスできます。例えば、Harishさんが営業マネージャー役割の予測マネージャーに指定され、HarryさんとHarrisonさんもこの役割に属している場合、HarishさんはHarryさんとHarrisonさん両方のデータにアクセスできます。ただし、「ピアと共有」が有効でない場合、HarryさんはHarishさんやHarrisonさんのデータにアクセスできません。同様に、HarrisonさんもHarishさんまたはHarryさんのデータを表示できません。
2. レポート先階層
Zoho CRMでは、ユーザーにレポート先マネージャーを割り当てることができ、そのマネージャーはユーザーのデータにアクセスできます。組織の階層内で上位役割の任意のユーザーをレポート先マネージャーとして割り当てることが可能です。
例として、Ha Showroom という会社の階層構造を考えてみましょう。CEO → 営業マネージャー → 営業担当者 という順序です。この場合、Harish と Harry は営業マネージャーの役割に属し、Harrison は次に含まれる営業担当者の役割です。
Harish が Harrison のレポート先マネージャーとして設定されている場合、Harish は Harrison のデータへアクセスできます。しかし、Harish と同じ役割にいる Harry であっても、明示的にレポート先マネージャーとして割り当てられていない限り、Harrison のデータへはアクセスできません。
Zoho CRM における階層構造の仕組みが明確になったところで、データ共有の可能な理由について見ていきましょう。
他のユーザーとのデータ共有の可能な理由
A) 権限と役割
ナビゲート:Zoho CRM の設定 (⚙️) >> 一般設定 >> ユーザー >> 対象ユーザーを選択してください。
A) 権限:
組織内のすべてのデータが下位ユーザーに表示される場合、そのユーザーにAdministrator権限が割り当てられているかどうかを確認してください。もし該当する場合、そのユーザーがすべてのデータへアクセスできるのはこのためです。
B)役割:
同じ役割内の他のユーザーのデータへアクセスできる場合、その役割で「ピアと共有」オプションが有効になっているか確認してください。注:このオプションは階層の設定が役割階層になっている場合のみ適用されます。レポート先階層構造を利用している場合は利用できません。
B) データ共有:
ナビゲート:Zoho CRM の設定 (⚙️) >> セキュリティ管理 >> 役割と共有 >> データ共有設定
1. タブレベル共有
特定のタブ内ですべてのユーザーのデータが表示される場合、そのタブのデータ共有権限が公開に設定されているか確認してください。公開の場合、役割に関係なくすべてのユーザーが他のユーザーのデータにアクセスできます。アクセス制限をかける場合は、共有権限を非公開に変更することで、ユーザーは明示的に共有されていない限り自分のデータのみを表示することが可能です。
2. データ共有ルール
レポーティングユーザーが上司のデータにアクセスできる場合、該当するタブで「共有ルール」が有効になっているか確認してください。そのようなルールが既存する場合、条件を変更するか、ルール自体を無効にすることができます。Zoho CRMのデータ共有ルールについての詳細は、ヘルプリンクをご参照ください。
C) データレベルでの共有
レポーティングユーザーがアクセス可能なデータに移動し、三点リーダー(⋯)ボタンをクリックして「共有する」オプションを選択し、そのデータがレポーティングユーザーに明示的に共有されているかを確認します。もし共有されている場合は、アクセス権限を取り消して制限することができます。
メモ: 共有されたリードデータのデータ種類が「Lead only」と表示されている場合は、そのリードデータが直接共有されたことを示します。一方、データ種類が「Via Lead」となっている場合は、「関連リストと一緒に」オプションがデータ共有設定で有効になっており、リストの一部としてデータが共有されていることを意味します。
D) テリトリー管理:
テリトリーがデータを担当している場合、そのテリトリーにアクセス権を持つユーザーは、そのデータにもアクセスできます。
例: ユーザーHarishが「新規Orleans」というテリトリーを担当しており、Harryが所有するアカウントデータがそのテリトリーの条件を満たしている場合、自動的にそのデータが新規Orleansに割り当てられます。結果として、Harishはテリトリーアクセスを通じてそのアカウントデータへのアクセス権を得ることができます。
メモ: テリトリーのルールは、役割ベースやレポート階層の権限よりも優先されます。テリトリーがデータの担当者に設定されている場合、そのテリトリーにアクセス権を持つユーザーは、役割に関係なくそのデータを表示できます。
パートナーの皆様にご協力いただきたいこと:
上記の推奨事項すべてを適用した後も、上司のデータが他のユーザー(本来表示権限がないはずのユーザー)からアクセス可能な場合は、さらなる調査のため、以下の情報のご提供をお願いいたします。
1. ユーザーのZoho CRM組織IDとメールアドレス(本来データにアクセス権がないユーザー)を共有してください。こちらで詳細を確認する際に役立ちます。
2. 該当ユーザーが共有しているデータのスクリーンショット(データのURLも含む)をご提供ください。
3. すべてのデータが該当ユーザーと共有されているのか、それとも特定のデータのみが共有されているのか教えてください。
4. データ共有ルール >> 「初期設定 Organisation permission」ページと「Sharing rule」ページ、さらにタブレベル権限ページのスクリーンショットをご提供ください。
5. 同じ役割のすべてのユーザーで発生しているのか、それとも特定のユーザーのみか教えてください。また、他のタブでも発生しているか、特定のタブのみかもご確認ください。
6. 該当するZoho CRM組織でサポートアクセスを有効にしてください(ヘルプ リンク)。これにより、当社側でデータおよび共有の詳細をバックエンドから確認できます。
リクエストで共有するすべてのスクリーンショットに、ページのURLが表示されていることを確認してください。
Troubleshooting Guide 作成者 Harish K | Zoho パートナー サポート