メールの到達率のガイド

メールの到達率のガイド

マーケティング担当者は、顧客の要望や興味を特定し、それらに合ったメールを配信する必要があります。しかし、単にメールの内容が適切なだけでは、目標を達成することはできません。メールキャンペーンの成果を高めるには、適切な内容のメールを作成すると同時に、顧客の受信トレイにメールが正しく到達されるようにする必要があります。メールが顧客の受信トレイに到達しなければ、内容が適切であっても顧客に読んでもらうことはできません。つまり、目標を達成するにあたって、メールの到達率の管理は必要不可欠です。そのため、マーケティング担当者は、メールの内容だけではなく到達率の改善にも注力しなければなりません。

メールの到達率とは、配信したメールのうち実際に受信トレイに到達したメールの割合のことです。メールの到達率によって、キャンペーンの成果が大きく左右されます。このページでは、メールの到達率について理解を深めるために、Zoho Campaignsのメールの配信機能と仕組みの概要、Gmailなどのメールサービスによるメールの振り分けの判断基準、迷惑メール対策サービスやメール機能を提供するサービスによって行われる迷惑メール(スパム)への対策について説明します。

メールの配信機能と仕組み

Zoho Campaignsには、高度なメール配信機能が用意されています。これにより、キャンペーンメールをスムーズに配信することができます。Zoho Campaignsのメールの配信において重要な要素となるのが、配信元ドメイン、IPアドレス、迷惑メール対策エンジンです。

配信元ドメイン

メールを正しく相手の受信トレイに到達させるにあたって、配信元ドメインの信頼性は最も重要な要素の1つです。配信したメールが相手のメール機能を提供するサービス側に到達すると、受信トレイにメールが振り分けられる前に配信元ドメインの信頼性が検証されます。配信元ドメインの信頼性が高い場合、メールが相手の受信トレイに正しく到達する可能性は高くなります。配信元ドメインの信頼性が低い場合、メールは迷惑メール(スパム)フォルダーに到達する可能性があります。

Zoho Campaignsを利用するにあたって、メール機能を提供するサービスや迷惑メール対策サービスに対して配信元ドメインの信頼性を高めるための設定を行うことを強くお勧めします。配信元ドメインの信頼性を高めるにあたって、最も有効な方法はドメインの認証です。

ドメイン認証

メールマーケティングを行う組織にとって、迷惑メール(スパム)対策は必要不可欠です。今日、迷惑メール(スパム)に対処してメールを保護するために、さまざまなセキュリティ対策が行われています。そのセキュリティ対策の1つが、ドメイン認証です。ドメイン認証とは、配信元ドメインが偽装されておらず、正しいドメインであることを証明するための認証プロセスです。ドメイン認証で最も利用される認証方法には、SPF、DKIM、DMARCなどがあります。

多くの場合、迷惑メール(スパム)の配信者は、ドメインの購入後、そのドメインを認証しないまま使用してメールを一括配信します。そのため、認証されていない配信元ドメインからのメールは、メール機能を提供するサービスによって迷惑メール(スパム)として判定されやすくなります。迷惑メール(スパム)と判定されるのを防ぐため、メールの配信を開始する前に配信元ドメインを認証することを強くお勧めします。配信元ドメインを認証すると、メールを配信してから相手のメール機能を提供するサービスに到達するまでの間にメールに関して不正な処理が行われる可能性を低下させることができます。また、メール機能を提供するサービスや迷惑メール対策サービスに対して配信元ドメインの信頼性を高めることも可能です。これにより、メールの到達率を向上させ、メールが正しく相手の受信トレイに到達する可能性を高めることができます。

ドメイン認証に関する詳細については、こちらをご参照ください。

新しい配信元ドメインの使用

Zoho Campaignsでは、新しい配信元ドメインの取得後すぐに大量のメール送信を行わないことをお勧めします。通常、新しい配信元ドメインには、メールサービスからの信頼性がありません。信頼性のない配信元ドメインからのメールは、メール機能を提供するサービスによって迷惑メール(スパム)として判定される可能性があります。新しい配信元ドメインを利用する場合は、はじめに配信元ドメインをウォームアップすることをお勧めします。配信元ドメインのウォームアップを行うには、小量のメール配信から始めて、受信者の反応を確認しながら配信するメールの量を少しずつ増やします。

配信元ドメインのウォームアップに関する詳細については、こちらをご参照ください。

IPアドレス

Zoho Campaignsでは、要件に応じて使用するIPアドレスを選択できます。使用するIPアドレスは、共有IPアドレスまたは専用IPアドレスのいずれかを指定することが可能です。IPアドレスの信頼性はとても重要です。メール機能を提供するサービスでは、受信トレイにメールを振り分ける前にIPアドレスの検証が行われます。そのため、メール機能を提供するサービスや迷惑メール対策サービスに対してIPアドレスの信頼性を高めることを強くお勧めします。

専用IPアドレスの使用

他のメールマーケティングサービスからZoho Campaignsに移行し、専用IPアドレスを使用する場合は、はじめにIPアドレスのウォームアップを行うことを強くお勧めします。通常、専用IPアドレスには、メール機能を提供するサービスや迷惑メール対策サービスによる信頼性がありません。専用IPアドレスのウォームアップを行う際は、小量のメール配信から始めて、受信者の反応を確認しながら配信するメールの量を少しずつ増やすことをお勧めします。

迷惑メール対策エンジン

Zoho Campaignsには、高度な迷惑メール対策エンジンが用意されています。これにより、迷惑メール(スパム)を特定し、対処することができます。Zoho Campaignsユーザーによって作成されたキャンペーンメールは、顧客に配信される前にZoho Campaignsチームによって厳格なレビューが行われます。Zoho Campaignsの迷惑メール対策エンジンには、最新の迷惑メール(スパム)フィルターとアルゴリズムが備えられています。キャンペーンメールの配信元ドメイン、メール本文、本文内のURLに迷惑メール(スパム)と思われる点がないか検証が行われます。迷惑メール(スパム)と識別された場合、キャンペーンは承認されず、該当のユーザーのアカウントはブロックされます。

配信リストの管理

キャンペーンメールを作成するにあたって、配信リストはとても重要な要素です。そのため、配信リストを適切に管理し、定期的に整理することをお勧めします。メールキャンペーンの成果を高めるための最も重要な要素が、配信リストの質の高さと言っても過言ではありません。配信リスト内に無効なメールアドレスや迷惑メールアドレスが含まれている場合、メールを配信しても不達(バウンス)、迷惑メール判定、登録解除、苦情などを招く恐れがあります。質の高い配信リストを作成するにあたって、ダブルオプトイン方式を採用することをお勧めします。これにより、無効なメールアドレスや迷惑メールアドレスが配信リストに登録されるのを防ぐことができます。

また、配信リストを作成する際は、要件、興味、年齢、性別などの登録者の要素に応じて配信リストをグループ化(セグメント化)して、登録者を要素別に整理することをお勧めします。配信リストをグループ化することで、登録者の要件や興味に内容を絞ったマーケティング活動(ターゲティング)を実施することが可能です。配信リストの登録者数が増えた後は、反応のない登録者を特定し、改めて反応を促すメール(再エンゲージメントキャンペーン)を配信することをお勧めします。

登録者とのやり取りを行いつつ、定期的に配信リストを整理(クリーニング)して無効な登録者を削除することで、配信リストの質を保つことができます。

メールの到達率の低下につながる要因

上記では、メールの配信機能と仕組みに関する主な要素について説明しました。以下では、メールの到達率の低下につながる主な要因について説明します。

メールの不達(バウンス)

メールの不達(バウンス)とは、配信したメールが相手の受信トレイに到達しない状態を表します。マーケティング業務では、メールが不達(バウンス)となることはよく起こります。しかし、これには注意が必要です。メールの不達(バウンス)は、メールの到達率に大きな影響を与えます。メールの不達(バウンス)には、次の2種類があります:

ソフトバウンス(一時的な不達)

ソフトバウンスとは、配信先の受信トレイの容量がない場合や配信先のサーバーが機能していない場合などに起こる一時的なエラーです。配信したメールがソフトバウンスとなった場合、メールはサーバーによって72時間以内にもう一度配信されます。ソフトバウンスが3回続けて起こった場合、メールはハードバウンスとして識別されます。

ハードバウンス(永続的な不達)

ハードバウンスとは、一時的ではなく、永続的にメールを配信できない状態を表します。一般的に、配信先のメールアドレスやドメインが無効な場合にハードバウンスが起こります。ハードバウンスは、配信元ドメインやIPアドレスの信頼性を著しく損なう原因となります。ハードバウンスによる不達率が高まると、配信元ドメインやIPアドレスがブラックリストに登録される可能性があります。
メールが不達(バウンス)となる原因は、配信リストの管理が適切に行われていない場合がほとんどです。そのため、作成した配信リストを定期的に整理することを強くお勧めします。

メールの不達(バウンス)に関する詳細については、こちらをご参照ください。

迷惑メール(スパム)判定

配信したキャンペーンメールが登録者の要件や興味に合っていない場合、登録者によって迷惑メール(スパム)と設定される場合があります。迷惑メール(スパム)判定は、メール機能を提供するサービスや迷惑メール対策サービスがメールを振り分ける際に注意する要素の1つです。配信したメールが迷惑メール(スパム)として設定されると、配信元ドメインやIPアドレスの信頼性が低下します。また、配信したメールに対する受信者の関心がないと判断された場合、配信したメールがメール機能を提供するサービスによって今後受信トレイに適切に振り分けられなくなる可能性があります。

登録解除

配信したキャンペーンメールの内容が登録した内容と異なる場合、登録者によってメール配信の登録が解除される場合があります。登録解除は、登録者がキャンペーンメールの内容や配信方法に満足していないことを表す、注意すべき要素です。メール機能を適用するサービスや迷惑メール対策サービスでは、受信トレイにメールを振り分ける前にメールに対する反応度(エンゲージメント)が検証されます。登録者によって登録が解除されると、配信元ドメインやIPアドレスの信頼性が低下します。一定期間内に多くの登録者が登録を解除した場合、今後配信するメールキャンペーンがメール機能を適用するサービスによって受信トレイに適切に振り分けられなくなる可能性があります。

苦情

メール受信者は、Zoho Campaignsチームに対して直接、迷惑メールなどの苦情を報告することができます。または、インターネット接続事業者と連携した苦情受け付けの仕組み(フィードバックループ)を通じて報告することも可能です。

苦情の直接送信

苦情の直接送信とは、登録者がZoho Campaignsチームに直接苦情に関する連絡を行う場合を表します。Zoho Campaignsチーム宛てに苦情が直接送信されると、Zoho Campaignsチームによって原因の調査委が詳細に行われます。苦情が適切なものであると判断された場合、対象のユーザーのアカウントはブロックされ、詳細な説明が求められます。

フィードバックループ

キャンペーンメールの受信者がメールを迷惑メール(スパム)として設定した場合、メール機能を提供するサービスによって、配信元であるZoho Campaigns宛てに通知が送信されます。フィードバックループを通じて迷惑メール(スパム)判定に関する通知が送信された場合、Zoho Campaignsチームから対応方法や代替方法に関する提案や連絡が行われます。その後配信されたキャンペーンメールが再度迷惑メール(スパム)として設定された場合、アカウントがブロックされ、詳細な説明が求められます。説明内容が適切な場合にのみ、アカウントのブロックが解除されます。

メールの到達率を最大化させる方法

配信元ドメイン、IPアドレス、配信リストの管理に加えて、メールの到達率を高め、キャンペーンの効果を最大化するための方法を紹介します。具体的な方法は以下のとおりです:
  1. 配信するメールの件名や内容のプレビュー用テキスト(プリヘッダー)の内容を分かりやすいものにする
  2. 受信者の要件や要望に沿った内容を準備する
  3. メール本文で迷惑メール(スパム)と疑われる語句を使用しない
  4. キャンペーン内の画像とテキストの比率を4:6程度にする
  5. メールのフッターを設定する
  6. キャンペーンのA/Bテストを実施する
  7. キャンペーンメールを配信する前に、受信者のタイムゾーンを確認する
  8. 新しい配信元ドメインやIPアドレスを使用する場合は、一度に大量のメールを配信せずに、ウォームアップを行う
  9. キャンペーンメールの配信後、開封率、クリック率、不達(バウンス)率、目標達成率を確認する
  10. 反応の多い連絡先に対して、割引などの特典を提供する
  11. 反応のない連絡先に対して、反応を促すメール(再エンゲージメントキャンペーン)を配信する
  12. 定期的に配信リストを整理(クリーニング)する

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