何年か後、ミーナズ・キッチンは業界トップの企業へと成長を遂げていました。あなたが勤める多国籍企業のフードサービス部門では、80か所の拠点にフードサービスを提供する事業でミーナズ・キッチンとの契約を検討しています。このフードサービス事業には、食品製造だけでなく、調達、財務、法務などの部門も関わるため、さまざまな情報をタイムリーに処理する必要があります。
最初から、ミーナズ・キッチンの対応は際立っていました。あなたの企業のどの部門の担当者も、ミーナズ・キッチンからは適切な情報をすぐに入手できます。他の会社は返信までに時間がかかることがありますが、ミーナズ・キッチンの場合は、誰が連絡してもすぐに返信があります。また、同じ内容の連絡を、宛先を変えて送りなおすようなこともありません。たとえば、法務部門から契約条件をミーナズ・キッチンの営業チームに伝えると、次回の契約書にはその内容が正確に反映されています。
ミーナズ・キッチンには誰がいつ連絡しても、常に適切な対応をしてもらえます。発注をすれば、すぐに専任のアカウントマネージャーから連絡があり、注文への対応がスムーズに開始されます。ミーナズ・キッチンとの契約は長年継続しており、これまで大きな問題が生じたことはありません。
業界トップの企業となったミーナズ・キッチンでは、ABM(アカウントベースドマーケティング)の手法を導入していました。あなたの企業は当初からこのマーケティングの対象となっていました。営業プロセスが始まると、営業チームに加えて、マーケティング、カスタマーサクセス、法務、配送など、さまざまなチームが同じCRMシステム上で業務を進めます。各チームが個別のツールで業務を管理する必要はありません。CRMシステムを中心に、どのように業務が進められていくのかを見てみましょう。
- ミーナズ・キッチンでは、カスタマージャーニー全体を事前に計画し、それに基づいて各チームのタスクやスケジュールを管理しています。チーム間の連携はすべてCRMシステム上で実現されており、他チームへの作業依頼やその進捗確認も、CRMシステムで一元的に行うことができます。見込み客の登録から契約の締結、さらには契約の更新に至るまで、すべてのプロセスをCRMシステム上で実施することで、一貫したカスタマージャーニーを進めていくことができます。
- CRMシステムでは役職に基づいたアクセス制御が可能であり、各チームにそれぞれ必要な情報だけを共有できます。管理者はデータの項目レベルで細かくアクセス権を設定できるため、組織全体でデータの表示や機能の利用を詳細に制御できます。たとえば、配送チームには商品の配送に必要な情報の参照のみを許可し、その他の機密性の高い取引データへのアクセスは禁止するといった設定が可能です。
- 顧客に関連する作業をすべてCRMシステム上で管理できます。これにより、誰が何を担当しているのかが明確になります。全体のプロセスを通じて、他のツールに依存することなく、CRMシステムにデータを保管してそこで作業を実施できるため、プロジェクト管理専用のツールを高額で購入したり、多数のツールの連携や保守に手間をかけたりする必要はありません。ひとつのCRMシステムを共通で使用することで、コストを抑制し、コンプライアンスを向上させ、協力体制を強化できます。
- 各チームは自分たちの業務フローに合わせてCRMシステムを柔軟にカスタマイズできます。細かな設定作業をIT部門に依頼する必要はありません。また、特殊な処理でもCRMシステムのカスタマイズによって解決できることが増えたので、別ツールの購入機会は減り、ましてや無許可ツール(シャドーIT)を使おうと考えることはなくなりました。この結果、コストを抑えられただけでなく、セキュリティ監査で問題が指摘されることが減り、外部の顧客からも高い評価を得られるようになりました。
- さまざまなデータや記録をCRMシステムに集約することで、AIが効果的に機能できるようになります。各種の予測、リアルタイムでのレコメンドの提示、データに基づく意思決定への支援などが可能です。AIの用途はさまざまであり、営業担当者は離脱しそうな顧客のフォローアップに、マネージャーはチームの目標管理に、システム管理者はCRMシステムの効率化に活用できます。営業チームでは、営業プロセスの中で必要になる大量のフォローアップ作業にAIボットを活用することも検討しています。