たとえば、受注業務のブループリントを作成し、業務プロセスをシステム化したとします。その後に、受注だけでなく、発注、配送、決済関連の業務もシステム化することを検討し始めました。
当初は、すべての業務を関連付けてまとめて管理するため、既存のブループリントに各業務の設定を追加しようとしました。しかし、これらの業務に関するデータはCRM内にあるものの、さまざまなタブに分かれて管理されていることに気がつきました。したがって、1つのタブのみを対象とするブループリントでは、各業務の設定を追加できませんでした。このような場合に、ジャーニー設計機能が便利です。
必要な権限:自動化の管理の権限を持つユーザーが、この機能を利用できます。
活用例
以下では、ジャーニー設計の効果的な使用例を紹介します。
融資申請の承認プロセスの例
Zylkerファイナンスでは、中小企業に対して金融支援を行っています。融資の申請者は、申請書に必要な情報を入力して提出します。その後、該当の申請が承認に至るまでには、書類受理、書類審査、資金準備、法務確認、最終審査など、さまざまな段階があります。それぞれの段階において必要なデータや対応事項は異なりますが、1つずつ確実に進めていくことが重要です。そこでジャーニー設計の機能を活用することで、対応が滞っている段階はどこか、対応が漏れている段階がないかどうかを手軽に把握できます。また、各段階に要した時間などを確認することも可能です。
また、ジャーニー設計の設定画面では、一連の業務の流れを視覚的に見やすく確認できます。カスタマイズも簡単で、Zoho CRM内の複数のタブをまたいで行う必要のある業務について、段階(状態)、および、次の段階に進めるための処理(遷移)を追加できます。さらに、状態ごとの完了期限を設定したり、ある状態から次の状態に自動的に進めるためのルールを追加したりできます。以下は、ジャーニー設計の設定例です。
ECサイトの受発注管理の例
Zylker商事では、製造業向けに部品や資材を販売していて、会員向けのECサイトの運営と受発注管理を行っています。商品の調達から配送までのプロセスにおける各段階で、組織内の様々な部門や外部の業者とのやりとりが発生します。ECサイトの受発注管理の流れは、次のとおりです。
上記のように、商品がECサイトで購入されてから購入者に配達されるまでの一連の流れにおいては、さまざまな人や組織が関与し、やりとりが行われます。ECサイトの受発注管理のすべての段階について、対応状況を把握することが重要です。
ジャーニー設計を活用することで、対応が滞っている段階はどこか、対応が漏れている段階がないかどうかを手軽に把握できます。また、各段階に要した時間などを確認することも可能です。
対応状況を確認することで、遅延や抜け漏れなくプロセスを進めることができるだけでなく、既存のプロセスの見直しやコスト管理、顧客の購入行動の予測などにも役立てることができます。顧客対応の最適化により、売上向上にもつなげることができます。
ジャーニー設計の主な要素
ブループリントと同様に、ジャーニー設計では、状態と遷移を設定する必要があります。
ジャーニー設計画面は、ブループリントの作成画面と同じものです。ただし、ジャーニー設計では、複数のタブや外部アプリケーションを組み合わせて、1つの業務フローを設計することが可能です。
状態とは、ジャーニーのさまざまな段階のことです。たとえば、上記の融資承認プロセスでは、[書類受理]、[書類審査]、[資金準備]、[法務確認]、[最終審査]などの状態があります。状態の詳細についてはこちらをご参照ください。
遷移とは、ジャーニー内の2つの状態を関連付ける設定です。遷移には、データをある状態から別の状態に移動するために必要な作業や条件を設定できます。たとえば、融資申請のデータを[書類審査]という状態から[融資却下]という状態に移動するために必要な作業や条件を、[却下]という遷移で設定します。 遷移の詳細についてはこちらをご参照ください。
上記のように、ジャーニー設計の設定は、ブループリントの設定と同様です。ブループリントの設定についてもご参照ください。
ジャーニー設計で作成できるジャーニー数の上限は、利用中のZoho CRMのプランによって異なります。ジャーニーごとに5件のバージョンを作成できますが、有効化できるバージョン数は、一度に1件のみです。
ジャーニーを作成するには、以下の手順を実行します。
手順1:基本情報を追加する
ジャーニー名を入力し、説明を入力します。
手順2:状態と処理を追加する
状態の追加
ジャーニー設計画面で、最初の状態を追加します。これは、ジャーニーの開始を表します。状態には、Zoho CRM内のすべてのタブを関連付けることができます。[種類]の一覧から、関連付けるタブを選択します。作成画面に追加した各状態について、同じ手順を実行します。ジャーニーごとに、70件までの状態を追加できます。
各状態における処理の設定
各状態において、すぐに実行する処理、時間基準の処理、繰り返しの処理を設定できます。処理は、データの状態に従って実行され、状態に達したすべてのデータに適用されます。
すぐに実行する処理:発注時に仕入先にメール通知を送信したい場合や、注文確定時に顧客にSMSで決済用リンクを送信したい場合を考えてみましょう。設定例は、以下のとおりです。
- データの状態:発注、注文確定
- 処理:仕入先へのメール通知、顧客への決済用リンクの送信
すぐに実行する処理として設定可能な処理の種類とその上限は、以下のとおりです。
- 項目の更新
- メール通知の送信:状態1件あたり通知3件まで
- タスクの作成:状態1件あたり通知3件まで
- Web通知の実行
- 関数の実行
- タグの追加/削除:状態1件あたりタグ10件まで
- SlackやZoho Cliqでの通知:状態1件あたり通知5件まで
時間基準の処理:ある状態において、データが一定期間とどまっている時に実行する処理を設定できます。期間は、日、時間、分で指定可能です。たとえば、分割払いの最初の1回分が支払われた次の日、または、仕入先が商品を発送した次の日に、顧客に電話をかけるタスクを割り当てることができます。設定例は、以下のとおりです。
- データの状態 - 1回目の分割支払い、商品の発送
-
処理 - 顧客への通話
時間基準の処理として設定可能な処理の種類とその上限は、以下のとおりです。
- 項目の更新
- メール通知の送信
- タスクの作成
- Web通知の実行
- 関数の実行
繰り返しの処理:一定の間隔で繰り返し実行する処理を設定できます。たとえば、保留中の支払いに関して毎日リマインダーメールを送信したり、顧客が予約を確定した後に対応が進むまで仕入先に通知を送信したり、問い合わせが完了になるまでサポート担当者に通知メールを送信したりできます。設定例は、以下のとおりです。
繰り返しの処理として設定可能な処理の種類は、以下のとおりです。
- 項目の更新
- メール通知の送信
- タスクの作成
- Web通知の実行
- 関数
手順3:状態の期限を設定する
データがある状態にとどまることができる期間を制限したい場合、状態の期限を設定できます。状態の期限に達した後に、データに実行する処理を選択することもできます。データをエスカレーションする(対応遅延を通知して別の担当者に割り当てる)か、次の状態に移動するかを選択できます。
状態間に遷移を追加した場合にのみ、状態の期限を選択する設定が表示されますのでご注意ください。期限の設定は、必須ではありません。
手順4.:遷移と実行タイミングを設定する
遷移は、2つの状態を関連付ける設定です。遷移の設定では、データがある状態から別の状態に移動するために必要な作業や条件を設定できます。たとえば、[在庫確認]という遷移において、設定した条件や処理が満たされる場合にのみ、データの状態が[発注]から[注文確定]に移動するように設定することが可能です。ジャーニーごとに、110件までの遷移を追加できます。
遷移を実行するタイミングは、以下のいずれかから選択できます(なお、この設定は必須です)。
- Webフォームの送信:Webフォームを通じてZoho CRMにデータが登録された時に、遷移が実行されます。この実行タイミングは、ジャーニーの開始、またはジャーニーの最初の遷移にのみ設定できます。
- データの作成:特定のタブやレイアウトでデータが作成された時に、遷移が実行されます。
- データの編集:データが編集された時に、遷移が実行されます。条件を追加することもできます。たとえば、見込み客ステータスが[有望]に変更されるたびに、決済用リンクを送信できます。
- APIの実行(受信処理):APIを通じて外部アプリケーションから遷移を実行できます。この場合、設定欄に表示されるAPIのURLをコピーします。さらに、各APIの実行時に必要なパラメーターを設定することも可能です。文字列、数値、日付、日時、真偽値のデータの種類から、6件までのパラメーターを選択できます。
注:2021年7月14日(水)までに作成したジャーニー(プロセス)には長整数型のIDが設定されていますが、2021年7月14日(水)以降に作成されたジャーニー(プロセス)には文字列型のIDが設定されています。
- データの承認:データが承認された時に、遷移が実行されます。たとえば、決済が承認された場合のみ、発注処理を進めるように設定できます。データを関連付ける承認プロセスを選択する必要があります。
- データの却下:データが却下された時に、遷移が実行されます。たとえば、決済が失敗した場合に、注文がキャンセルされるように設定できます。データを関連付ける承認プロセスを選択する必要があります。
- 日付/日時:タブの日付項目、または日時項目に基づき、遷移が実行されます。
- さまざまなチャネルからのシグナル:メール、通話、チャット、問い合わせ、アンケート、イベント、Webセミナーなどに関して受け取った反応や処理(シグナル)に基づいて、自動処理を実行できます。たとえば、通話が遅延するたびにサポート問い合わせを作成したり、顧客がメールのリンクをクリックした際にお礼メールを送信したりできます。 また、状態に条件を設定して、特定の問い合わせ、メールキャンペーン、アンケートなどに対してのみ自動処理を実行するように設定することもできます。たとえば、特定の種類のメールが不達になった場合にのみ遷移を実行し、その他のメールが不達になった場合には実行しないように設定できます。同様に、特定のサポート問い合わせに対して顧客からの返信を受信した場合にのみ、自動処理を実行するような設定も可能です。
自動処理の実行タイミングとして、以下のシグナルを指定できます。
- メール
- 送信メール:送信、開封、クリック、不達、未開封、開封済みで未返信、未返信、配信停止
- 受信メール:受信
- 通話:通話の着信、発信通話が未応答、通話予定の対応遅延
- チャット(Zoho SalesIQ):未対応のチャット
- 問い合わせ(Zoho Desk):問い合わせの作成、コメント、遅延、返信、評価、エスカレーション
- メールキャンペーン(Zoho Campaigns):開封、クリック、不達、迷惑メール設定、返信の受信、配信停止
- アンケート(Zoho Survey):アンケートの送信、表示、回答、未表示
- イベント(Zoho Backstage):チケットの購入、キャンセル、チェックイン
- Webセミナー(Zoho Webinar):招待メールの送信、登録、参加
その他、Zoho CRMに連携できない外部アプリケーションを使用している場合は、カスタムシグナルとして独自のシグナルを作成し、実行タイミングとして選択することも可能です。関連情報:カスタムシグナルの作成
メモ
- 実行タイミングは一旦設定すると、編集できません。必要に応じて削除してから、新しい実行タイミングを追加する必要があります。
- 状態や遷移の実行タイミングに関連するタブは、ジャーニーに一旦設定すると、削除できません。
- ジャーニーは複数のタブを横断して設定できるため、対象のデータがあるタブから別のタブに移動することもあります。そのような場合のため、[現在のデータ名]項目では、データの現在の位置を表すタブ名を確認できます。なお、[現在のデータ名]項目の値は編集できません。データの位置に基づくタブ名が自動で反映されます。 例:データが[見込み客]タブにある場合は[(データ名)- 見込み客]と表示され、[連絡先]タブにある場合は[(データ名)- 連絡先]と表示されます。
手順5:遷移時に実行する処理を設定する
状態が遷移した際に自動で実行する処理を設定できます。たとえば、取引先が見積書を承認した際に、商品の詳細、数量、受取人の住所を記載した通知を仕入先に送信する必要がある場合に、遷移時にすぐに実行する処理として設定できます。遷移には、以下の処理を設定できます。
- データの作成
- 項目の更新
- メール通知の送信
- タスクの作成
- Web通知の実行
- 関数の実行
- タグの追加/削除
メモ
遷移時にすぐに実行する処理は、状態と遷移が2つの異なるタブにある場合に、特に便利です。たとえば、上記の例では、状態が[見積書]タブで発生する一方、遷移は[仕入先]タブで実行されます。つまり、異なるタブにおける一連の処理を、1つのジャーニーで設定できます。また、異なる状態で、2つの異なる処理を同時に実行することも可能です。
手順6:選択したデータに対する遷移の実行条件を設定する
特定のデータのみ遷移を実行する場合、遷移を有効にするために満たすべき条件を設定できます。たとえば、$3,000を超える請求書のみ、次の状態に移動する前に、[割引]の遷移を実行するよう設定できます。
手順7:データ間の接続を設定する
異なるタブをまたいだ2つの状態の間でデータが遷移(移動)する場合に、タブ間の接続方法を設定することで、タブが移り変わった後もデータの遷移を追跡できます。たとえば、3名の見込み客から、商品紹介の依頼を受けたとします。依頼者にWebセミナーへの招待を送信し、参加した1週間後に、3名のうち1名の見込み客が商品を購入しました。これにより、この見込み客のデータは、[見込み客]という状態から[連絡先]という状態に移動しました(見込み客データが連絡先データに変換されました)。この場合、2つのタブをまたいで状態が遷移します。ここで、遷移前のタブと遷移後のタブの間の接続方法を指定しておくことで、データの遷移時の経路や活動内容を追跡できるようになります。接続方法としては、標準の参照関係(例:見込み客から連絡先への変換による関連付け)、または、特定のルックアップ項目による関連付けのいずれかを選択できます。
上記の例では、Webセミナーへの参加後、[見込み客]の状態にあった人が購入処理を完了すると、次の状態[連絡先]に移動します。この場合、データの遷移を追跡するには、見込み客データと連絡先データをどのように関連付けるかを指定しておく必要があります。具体的には、標準の参照関係(見込み客から連絡先への変換による関連付け)を選択するか、関連付けに使用するルックアップ項目を指定します。これにより、タブをまたいで状態が遷移する場合でも、以下のことが可能になります。
- 2つのデータ間の関連付けや参照関係を確認する
- データが次の状態に進むきっかけとなった活動を把握する
メモ
- 遷移の設定画面に[接続]タブが表示されるのは、2つの異なるタブをまたいだ状態間で遷移が設定されている場合のみです(例:上記の例のように、データが[見込み客]タブから[連絡先]タブに移動するような場合)。
- 関連付け/参照関係を設定できるのは、ジャーニー設計で設定されたジャーニーを通じてデータが作成された場合のみです。手動での作成は対象外です(例:見込み客データが手動で変換されて連絡先データが作成されるような場合)。
手順8:遷移の履歴にメモを追加する
データの詳細画面の[履歴]タブでは、遷移の履歴情報にメモを追加できます。遷移の概要や補足情報を書き留めておくことが可能です。履歴のメモは、遷移ごとに3件まで追加できます。
入力欄には、「#」に続けて項目名を入力することで、差し込み項目を挿入できます。これにより、該当の遷移に関する情報を挿入することが可能です。たとえば、以下の画像では、該当の遷移が設定されているジャーニー名、遷移の名前と実行タイミング、遷移の実行の原因となった処理の情報がメモ内に挿入されています。
ジャーニーの設計
ジャーニーを設計するには:
- [設定]→[顧客体験管理]→[ジャーニー設計]の順に移動します。
- [ジャーニーを作成する]をクリックして、[ジャーニー名]と[詳細情報]を入力します。
- [続ける]をクリックします。
- ジャーニー設計画面で、[クリックして状態を追加する]を選択します。
- 状態の追加画面で、[状態名]と[詳細情報]を入力し、一覧からタブを選択します。
- [保存する]をクリックします。
ジャーニー設計画面に状態が追加されます。状態に[処理]を追加するか、[+](状態を追加する)ボタンをクリックして、さらに状態を追加します。
- [この状態の期限を設定する]をクリックして、[日]、[時間]、[分]に数値を入力します。
- [処理]タブで、[すぐに実行する処理]、[時間基準の処理]、[繰り返しの処理]のいずれかを選択します。
- [すぐに実行する処理]で、[追加する]をクリックして、一覧から処理を選択します。
- [時間基準の処理]で、 [日]、[時間]、[分]の数値を入力して、[続ける]をクリックします。
- [繰り返しの処理]で、[日]、[時間]、[分]に数値を設定し、 [続ける]をクリックします。
時間基準の処理と繰り返しの処理に対して、すぐに実行する処理(項目の更新、メール通知、タスク、Web通知、関数)を追加することもできます。
- 2つの状態の間の[+]ボタンをクリックして、遷移を作成します。
- [遷移の情報]タブで、[遷移名]、[詳細情報]を入力し、一覧から[実行タイミング]を選択します。
- [保存する]をクリックします。
- [処理]タブで、[処理を追加する]をクリックして、一覧からこの遷移時に実行する処理を選択します。
- [条件]タブで、[条件を追加する]をクリックして、この遷移を適用するデータの条件を設定します。
- [履歴]タブで、[履歴を追加する]をクリックし、履歴として追加するメモの内容を入力した後、[保存する]をクリックします。
- [+](状態を追加する)ボタンをクリックして、さらに状態を追加します。
- [公開する]をクリックして、ジャーニー設計を公開します。削除する場合は、[下書きを削除する]をクリックします。
初期設定のジャーニー
業務の流れ(フローやプロセス)を表すジャーニーの設定の例として、見込み客の選別に関する設定があらかじめ用意されています。この初期設定のジャーニーをそのまま利用することも、自分の組織に合わせてカスタマイズすることも可能です。
見込み客の選別用の初期設定のジャーニーの流れは、以下のとおりです。
- 見込み客データの登録
- 連絡(フォローアップ)の予定やタスクの登録
- 初回連絡
- 再連絡(連絡を継続)
- 商談化
- 失注(見込みなしと判断)
各段階において、営業担当者は見込み客を選別するためのさまざまな活動を行います(例:フォローアップ用のメール送信や架電)。ジャーニーの設定には、これらの活動を反映させることが可能です。それぞれの段階(状態)において行うべき活動を設定し、営業担当者が抜け漏れなく行うようにすることができます。初期設定のジャーニーでは、こうした活動もあらかじめ設定されています。
初期設定のジャーニーは、以下の2つが用意されています。
- 通話を通じた見込み客の選別
- メールを通じた見込み客の選別
初期設定のジャーニーを活用することで、管理者の設定作業の負担を軽減できます。初期設定のジャーニーの対象は、[見込み客]タブと[連絡先]タブのみです。必要に応じて設定を追加することで、他のタブも対象にできます。
また、ジャーニーの内容をカスタマイズすることもできます。ジャーニーにおける各段階を表す状態の追加/削除/置換、各状態において実行する必要がある活動の追加、状態ごとの期限の設定などが可能です。
メモ:初期設定のジャーニーは下書き状態になっているため、管理者が手動で有効にする必要があります。
初期設定のジャーニーを有効にするには
- [設定]→[顧客体験管理]→[ジャーニー設計]の順に移動します。
- 対象の初期設定のジャーニーをクリックします。
- 必要に応じて、状態と遷移をカスタマイズします。
- 処理やその他の詳細を設定します。
- [公開する]をクリックします。
遷移の優先度の設定
最初の状態において複数の遷移がある場合、遷移は、設定の一覧で表示されている順番で適用されます。必要に応じて優先度の順番を設定することで、実行順を変更できます。
融資承認プロセスを例に見てみましょう。[事前承認待ち]の状態において、[情報不足]と[承認上限超過]という2つの遷移がある場合、表示されている順番で遷移が適用されます。遷移を並べ替える場合、遷移をドラッグ&ドロップして希望の順番に並べ替えます。
ジャーニーの期限の設定
ジャーニーの設定では、ジャーニーの終了期限を設定できます。たとえば、見込み客の獲得を目的とするジャーニーを設定する場合、最後の状態[見込み客の獲得]に到達してジャーニーが終了するまでの期限を、ジャーニーの開始後10日間などに設定できます。なお、ジャーニーの期限は、ジャーニーの設定時や設定後の編集時に追加できます。期限を追加するには、ジャーニーの設計画面の右側にある[期限]タブで、[このジャーニーの期限を設定する]をクリックします。
ジャーニーの期限の設定には、基準となる状態(ジャーニーの開始時点、またはいずれかの状態)と、期限までの経過時間を日数/時間数/分数で指定します。また、指定した期限を過ぎた場合に実行する処理を設定することが可能です。処理には、データをエスカレーションする(対応遅延を通知して別の担当者に割り当てる)か、別の状態に移動するかのいずれかを設定できます。
ジャーニー全体の期限を設定することで、期限内に完了状態に達したデータの数を把握できます。逆に、特定の状態で止まっていて対応が遅延しているデータを洗い出すこともでき、必要な対応を実行できます。
ジャーニーのバージョンの編集
1つのジャーニーに対して最大5件のバージョンを作成できますが、一度に有効にできるのは1件だけです。有効なジャーニーの編集には、次の3つの方法があります。
- 下書きを削除する:下書きを保存も公開もしません。削除するだけです。
- 新しいバージョンとして公開する:編集済みのバージョンを、新しいバージョンとして公開できます。これにより、既存のバージョンを保持し、各バージョンの成果を比較できます。
- 再公開する:既存のバージョンを上書きできます。
[ジャーニー設計]タブでのデータの表示
ジャーニー設計でジャーニーを作成すると、利用中のZoho CRMアカウントに、[ジャーニー設計]と呼ばれるタブがシステムによって自動的に追加されます。このタブでは、特定のプロセスに関連するデータを表示でき、ID、ジャーニー設計の開始日、ジャーニー設計の期限、状態の期限などに応じて抽出できます。複数のジャーニーがある場合、条件を指定して、対象のジャーニーを抽出して表示することも可能です。スマートフィルターを使用して、特定の条件に当てはまるデータを手軽に表示することもできます。
ジャーニー設計のレポートの表示
Zoho CRMでは、ジャーニー設計で作成した各ジャーニーに関して、3つの標準レポートを利用できます。[設定]→[顧客体験管理]→[ジャーニー設計]の順に移動して、ジャーニー設計の一覧で対象のジャーニーにカーソルを合わせて[レポートを表示する]をクリックすると、以下のレポートを表示できます。
- 状態別の内訳:状態ごとのデータ数です。
- 各状態の平均所要時間:状態ごとの経過時間です。遅延情報を把握し、ボトルネックとなっている状態を正確に理解できます。遷移にかかった時間を確認し、最も停滞している状態を見極めて必要な対応をとることができます。
- 全体レポート:全体レポートでは、ジャーニー全体を見える化でき、各状態や各遷移のデータ件数を把握できます。
ジャーニーの並べ替え、無効化、削除
並べ替え:ジャーニー設計のプロセスは、表示順に応じてデータに適用されます。作成したすべてのジャーニーが作成順に一覧表示されますが、[顧客体験管理]→[ジャーニー設計]から[ジャーニーを並べ替える]をクリックすると、ジャーニーを並べ替えることができます。ジャーニーを並べ替えると、新しい順番に基づいてジャーニーがデータに適用されます。
無効化:ステータスボタンを切り替えると、ジャーニーを無効にできます。 一旦無効にすると再度有効にするまで、新しいデータにはジャーニーが適用されなくなります。ただし、ジャーニー内のデータには引き続き適用されます。
削除:ジャーニーにカーソルを合わせて削除アイコンをクリックすると、ジャーニーを削除できます。ジャーニーを削除する前に、以下の留意事項をご確認ください。
- 現在、ジャーニー内にあるすべてのデータに関して、ジャーニーの適用が終了します。
- データの履歴(関連する状態と遷移)が完全に削除されます。
- 現在のデータに設定されている時間基準の処理が停止します。
メモ
- 状態や遷移の実行タイミングに関連するタブは、ジャーニーに一旦設定すると、削除できません。
- ジャーニーを適用中のデータについては、識別しやすいように、データの詳細ページにオレンジ色の欄が表示されます。該当の欄には、データの元の状態と次の状態が表示されます。
- 現在、この機能は、設定のコピーやサンドボックスの機能には対応していません。
- 既存のジャーニーを編集した場合、再公開して既存のバージョンを上書きできます。新しいバージョンとしてジャーニーを保存することもできます。